日刊ゲンダイより転載// 決裁文書改ざん疑惑のキーマンは財務省から消えていた
決裁文書改ざん疑惑のキーマンは財務省から消えていた
キーマンは、すでに財務省から消えていた。森友学園への国有地売却を巡る決裁文書改ざん疑惑。書き換えた疑いのある国会議員らに提示された決裁文書には、最終責任者として当時、近畿財務局管財部長だった小堀敏久氏(57)の印が押されてある。彼こそ今回の疑惑のカギを握る人物なのだが、昨年9月30日に財務省を離れ、翌10月1日に異例の待遇で所管外の独立行政法人に迎え入れられていた。
茨城県土浦市出身の小堀氏は、明大商学部を卒業後、1984年に財務省に入省。関東財務局管財第2部長や九州理財局財務部長などを歴任するなど一貫して、地方の財務局で勤務してきた。
近畿財務局管財部長に就いたのは、2015年7月。翌16年6月に破格の約8億円値引きで森友学園に国有地を売却するまで、交渉窓口となった管財部のトップを務めたキーマンである。
■異例の待遇で所管外の独法に
同年7月の人事で小堀氏は九州財務局総務部長に異動。熊本県の地方紙本社を訪れた際には「(熊本城の)石垣などが崩れ、痛々しいと思った」「管内の地域と東京を結ぶ仕事。地元の声を東京にどう伝えていくかです」と抱負を語っていたが、昨年7月1日付で大臣官房付となり、たった1年で九州財務局を離れた。
その3カ月後に迎え入れられたのが、さいたま市の独立行政法人「水資源機構」。政府全額出資の資本金77億円を誇り、理事長の報酬は月額100万円を軽く超える霞が関官僚垂涎の“天下り先”だ。
ただ、理事に就いているのは所管の国交省や農水省の幹部OBだけで、所管外の財務省から人材を迎え入れるのは異例のこと。しかも小堀氏は「常務参与」という肩書を与えられているが、この役職は、小堀氏の就任以前5年間も担当者不在で“空席”だった。わざわざ、彼のために用意されたポストのようにも見えるのだ。
「『常務参与』は役員ではなく、あくまで一般職。内部統制の充実及び強化、業務改善の推進を任されています」(水資源機構広報課)
果たして、財務省を離れたキーマンの異例の人事は何を意味するのか。
「慰安婦」研究 雲南の激戦地における悲惨と偉大 その4
地の塩になれればと より転載
ありがとうございます!
(4)激戦地で日本兵と共に玉砕した朝鮮人「慰安婦」の無言の重さを想う
1)死者は語れず、また生存者の多くはは語れない。語ろうとしても、引け目や罪責感のために語れない。
生存者の一部だけ語ることができる。それを尊重するが、しかし、それが全体を代表し、しかも、自分の証言以外を否定することは認められない。
2)日本軍守備隊が玉砕した雲南・拉孟における「慰安婦」は、松井秀治『ビルマ従軍 波乱回顧』(興竜会本部、福岡、一九五七年)でも記述されている。その第二巻第十四の「慰安」(一八五頁以降)では、「拉孟で最も立派な建物」を新築して「慰安所」とし、昭和「十七年の暮も押し詰まった頃、半島人の慰安婦十名が軍の世話で到着した。十八年の夏頃又内地人と半島人合せて十名が派遣された。最初の半島人十名は十八年に龍陵の慰安婦と交代したが、これ等の慰安婦は十九年六月後方との交通が遮断された為後方に脱出する事が出来ず、拉孟の将兵と共に玉砕した。此等の女性は最初は慰安婦であったが、拉孟が包囲されるに及び全く日本婦人と変り、兵の服を着用し炊さんに握り飯つくり、患者の看護等に骨身を惜しまず働いて呉れたが、気の毒なことであった」と述べられている。
「気の毒なことであった」とは戦死・散華を示唆していると言える。既述したように「投降」した、或いは隠れていて発見された「慰安婦」もいるだが、玉砕・散華した「慰安婦」もいたと考えられる(黙祷)。
先の拉孟の写真①や②では数名だけであるが、前の引用文では「慰安婦」が十数名いたことが分かり(日本人リーダーに朝鮮人サブリーダー二人の下に多くの中国人「慰安婦」という構成から推計すれば、朝鮮人の方が多かったと言える)、残りは約十名となる。もちろん、包囲網を逃れ、行方をくらました者もいたかもしれない。いずれにせよ検証はできないが、戦死・散華の可能性を排除することもできない。
注記:
『ビルマ従軍 波乱回顧』は、国会図書館には収蔵されているが、CiNii Books(国立情報学研究所)では検索できなかった。私は品野の所蔵していたコピーに拠っている。この『ビルマ従軍 波乱回顧』は、貴重な文献であるため、ここで当該頁を紹介する。『異域の鬼』三〇二頁の中村森太郎少尉の体験などに注意しつつ読む。
3)先述の引用文は半島を統治していた日本側の見方であり、被統治者ではない点も注意しなければならない。当然、美化にも注意しなければならない。
また玉砕したとしても、嫌々ながら逃げ出せず、戦火の中で命を失った者もいる可能性もあるが、そこまで言えば日本兵でも同様である。
その上で、「慰安婦」となったからにはと、「挺身隊」の文字通り身を挺した「慰安婦」もいたことから、引用文は一面的であるとまでは言いきれない。
(2)の6)で取り上げた、日本兵に朝鮮人「慰安婦」が「この体、日本人ととこちがうか」、「日本人と同じ米の飯食べてるんだ。日本人と同じ天子様が朝鮮をおさめているんだ。どこもちがわないね」、また「チョウセンピー、チョウセンピーって、バカスルナァ!テンノヘイカ、ヒトツトォ!」、「おまえ(日本兵―引用者注)の格好は何たるざまだ。それでも皇軍か?それでも神州男児か?この馬鹿野郎!」などと言い返し、罵倒したことは、その現れである。
このような朝鮮人「慰安婦」であれば、当然、包囲された拉孟守備隊で「全く日本婦人と変り、兵の服を着用し炊さんに握り飯つくり、患者の看護等に骨身を惜しまず働」き、日本人兵とともに玉砕したと言えるのである。
このように考えることは、彼女たちの生き様をしっかりと受けとめることに通じる。
そしてまた、生き延びた「慰安婦」の語る被害の証言の重さを思うならば、壮烈に戦死・散華した「慰安婦」の無言の重さをも思いを馳せるべきである。
(5)死者の声なき声に傾聴する―「死人に口なし」では終わらせてはならない
1)玉砕前の拉孟守備隊の状況について、吉武伊三郎軍曹(当時は伍長)の証言に基づき、品野は、以下のように述べている(『異域の鬼』三二二~三二三頁)。
「全滅の一日か二日前だった。吉武伍長は慰安婦たちに大声で泣きつかれた。慰安婦たちは看護婦がわりに働いている。手足のもげた兵たちが呻き毎日々々死んでいく。彼女たちの神経がもてている方が不思議なくらいだ。
『どこでもいい、この場から一緒に連れて逃げてェ』とすがりつくが、どうにも仕様がない。そのときまで二〇名の慰安婦はみな無事だった。服装も、兵隊服やモンペでなく、女のワンピースだった。『こんな女たちも道連れにせねばならんのか』と、吉武伍長は不憫でたまらなかった。
『連れて逃げ出したいのは山々だが、飛び出しても敵ばかりだし、仲良く暮らしてきたのだから兵隊たちと一緒に死のう』というしかなかった。冗談まじりにいったつもりだったが口がひきつった。
九月七日、横股陣地に追い詰められた。雨でビシャビシャになっているコの字型の大きな横穴壕に重傷者と慰安婦が入っている。昇汞錠を重傷者と慰安婦にも与えた。重傷者はほとんど飲まず手榴弾で自決した者が多かった。」
自決のための「昇汞錠」を、吉武伍長は与えたが、それ以上は働きかけずに当人の判断に任せたと読める(次項の里美兵長の対応を参照)。
なお、品野によれば、昇汞錠(水に溶かして消毒に使う塩化第二水銀で、致死量〇・二~四グラム)が、全員、自決用に「二包あて(錠というが無色光沢柱状結晶)」渡されたという(二八四頁)。
他方、千田は「青酸カリ」と記している(前掲『従軍慰安婦 正編』一三八頁)。それでは、千田は誤りかと言えば、即断はできない。
品野がインタビューした者は知らなかったが、隊長や指揮官は持っていた可能性はある。また「慰安婦」は前々から所持していたとも考えられる(金春子はピストルを渡されいよいよ最後の時は自決しろと告げられ、自覚した)。これは「慰安所」での性的行為は戦いの延長、或いは一環であり、このような意味で名誉や尊厳を感得していたことを意味する。それ故、敵の戦時性暴力を受けることは耐えられず、操を守るために自決する。
かつて、武家では少女が成人になると「懐剣(短刀)」を与えられ、襲われれば防御・撃退し、そうできなければ自決した。この武士道(婦道)的な精神を、金春子にも見出すことができる。
確かに歴史的な制約を見なければならないが、新渡戸稲造が『武士道』第一四章「婦人の教育と地位」で、少女の「懐剣」に関連して、自分の純潔と信仰を守るために自決したペラギアとドミニナを聖女に列していることは熟考すべきである。
2)その後、吉武伍長たち脱出するが、その三、四時間前に「二、三人の慰安婦が飛び出」し、「水無川に転げ落ちるようにして逃れた」一方、日本兵の自決の「そば杖」か、或いは「一緒に」自決したか確認できないが、脱出しなかった「慰安婦」もいた(『異域の鬼』三二三~三二四頁)。後者について、西野瑠美子は「自決の巻き添えになった可能性もある」と述べているが(『戦場の「慰安婦」―拉孟全滅戦を生き延びた朴永心の軌跡―』一〇五頁)、日本兵とともに玉砕・散華した可能性もある。
そして、先に引用した『異域の鬼』の同じ部分を、西野は『戦場の「慰安婦」』一〇七~一〇八頁で引用し、その時に脱出した一人であるとして朴永心の証言を紹介している。即ち『戦場の「慰安婦」』は、『異域の鬼』に言及しつつ、独自に聞き取りした証言も加えて、朝鮮人「慰安婦」朴永心の悲惨な被害を取り上げ、日本人の反省・謝罪の必要性を提起し、加害者である日本兵の証言も、これに沿って被害者(朴永心)の証言を補強するようになっているが、その信頼性への疑義を、本論文1(3)で述べた。
3)『戦場の「慰安婦」』の結びでは、朴永心が人間として「尊厳」を破壊され、「“恨”を抱えたまま死ぬことはできません」と語ったことが取りあげられている。そして、西野は彼女が生き延びたのは「諦め」ずに「生きようとする意志」、「強い生命力」があったためであり、また八〇歳を越えても「人間の尊厳を取り戻す闘い」の「結果」を出そうとする「強い意志」があり、それが「生命力の源」となっていると評価する(『戦場の「慰安婦」』二二一頁)。この証言の信頼性が確かめられれば、尊重する。
ただし、1(3)で述べたように「恨」という情念、怨念を「生きようとする意志」、「強い生命力」に結びつけることは慎重に注意しなければならない。その超越・昇華がなければ、「恨」の依存となる。そして、その支援は依存を助長する。
逆に見れば、超越・昇華すれば、「恨」や、その「支援」を名目に歴史を政治外交に悪用することができなくなる。また、この問題で目立とうとすることもできなくなる。それ故、狡猾で卑小で偽善的な野心を抱く者は、超越・昇華させずに、それを助長させる。これでは、当事者は「恨」を抱え続け、また「支援」者はそう続けさせる。この点でも、西野の調査を問わねばならない。
4)さらに、日本兵とともに玉砕・散華した朝鮮人「慰安婦」は、どのように語るかと、私は考える。客観主義や実証主義という主観主義に制約された者は、記録されていないことは論じられないという不可知論に陥るが、それでは研究にはならない。
その生き方、死に方を推し進めれば、「恨」に捕らわれ続けることなどあり得ないと言える。
5)加えて、「仲良く暮らしてきた」という伍長の言葉を見過ごすことはできない。朝鮮人「慰安婦」は日本人「慰安婦」や日本兵とともに、中国人の上に位置していたのである。そして、朴永心は中国人「慰安婦」について、どのように思っていたのかと、私は問わざるを得ない。
既述したとおり、李連春のいた「慰安所」では、一人の日本人、二人の朝鮮人、そして「中国東北地方からの女性が数人いて、現地で拉致された女性を含めると二十数人」であった(小著『アイデンティティと時代』一二八頁)。また、その「慰安所」は、女性が入れない「神聖」な「祠堂」の「四合院」を改築した建物であった。他方『波乱回顧』では「拉孟で最も立派な建物」を新築したと記されている(本論文2(3))。ここから、拉孟ではいくつかの「慰安所」があり、日本人リーダー、朝鮮人サブリーダー、その下の中国人という階級システムがあったと言える。これは、軍の直轄、周辺の半官半民的な(李連春は日本兵が警備・監視と述べている)、さらに民間という種類に対応している可能性もあり、『波乱回顧』では軍直轄の「慰安所」しか書かなかったと推論することもできる。
そして、朝鮮人がこのような立場であれば、日本人が「仲良く暮らしてきた」ではないかと言うのも一理はある。勿論、上の統治者と中間管理の立場では違うが、下の被支配者とも違うことを認めなければならない。
なお中国人「慰安婦」については、『異域の鬼』においても、「広東ピー(売春婦)」(一一九頁)程度で、言及が極めて少ない(この点は次回に取りあげる)。
6)朴永心の証言も、西野の評価も――仮に信頼性が確かめられたとすれば――、それは一つの立場によるものであり、私は尊重する。
その上で、私は現実は多面的多元的で、史実もそうであると認識する。つまり、朴(そして西野)とは異なる立場もある。最後に脱出した者と、脱出せずに自覚して死を選んだ者との違いは明白である。
だからこそ、玉砕・散華した朝鮮人「慰安婦」の声なき声に傾聴し、証言できない者の想いを洞察し、提示する。
そして脱出した者について、脱出しなかった者から言えば、“結局は、半島ではできなかった人の上に立つ出世が中国ではできるし、しかも金儲けもできるので、はるばる雲南まで来たのだな。八〇過ぎてもなお「恨」というのは、どれも敗北で失ったからだ”となるだろう。事実『戦場の「慰安婦」』では、朴永心が「お金が稼げる仕事がある」という「巡査の言葉にのせられ」たことや(一九頁、二八頁)、将校がたびたび「外に連れ出し」、「慰安所近くの寿司屋」にも行ったこと(二九頁)が記されている。
また守備隊では、彼女と「仲良く」していた日本兵は一人もいなかったのだろうか? いたとしたら、彼はどう思うだろうかとも考えさせられる。
このようなわけで、私は加害側の民族で、戦争を遂行した者の息子の世代に当たり、その立場で加害を認識し、反省と謝罪の必要性も自覚した上で、死者の声なき声をも傾聴すべきと考える。そして、「尊厳」というなら、「恨」に依存するよりも、玉砕・散華した者の生と死にこそ「尊厳」が凝縮されていると認識する。
(6)玉砕と脱出―極限状況における崇高な阿吽の呼吸(暗黙の合意)
1)玉砕前、拉孟守備隊から本隊に状況報告のために「脱出」の命令が木下中尉、里美兵長、亀川上等兵の三名に出された。その一人の里美の証言を、品野は『異域の鬼』でまとめている。その中で「慰安婦」に関しては、次のように記されている(四〇五頁)。
「私(里美―引用者注)は弾のはいっとらん拳銃と軍刀だけしか持たんかった。手榴弾もなかった。脱出命令を受ける前、本部の下士官が〈慰安婦を殺せ〉といってきて昇汞(消毒用の劇物―引用者注)の包みを一〇個ほどくれた。〈おなごをみな殺してしまえ、握り飯のなかに毒をいれて食べさせろ〉という。
〈そんなバカなことをすんな。どうせ助からんし捕虜になってもええじゃないか〉といったら〈それならお前が死ね〉といわれた。私は女に毒薬をやらず、水の溜まったドラム缶の中に捨てた。朝鮮の女は〈捕虜になったがまし〉といっとった。女を殺せなんちゅう命令など腑に落ちんことが多かった。〈金光大隊長が生きとったら、そんなことはいわんじゃろ〉と私はいった」
「昇汞」を飲ませて殺害する命令が、極限状況において出されたが、現場では必ずしも実行されなかったことが分かる。
さらに里美が従わなくても、下士官が「それならお前が死ね」と言うだけであったのは、彼の黙認を示唆している。それは悲惨で残酷な戦場においてなお保たれていた人間性の証と言える。
2)この命令は、玉砕直前で、昇汞が、自決用に全員「二包あて」渡された時(二八四頁)と思われる。それは動けない傷病兵のためで、それ以外は最後の銃剣突撃を行い、戦死するので、謂わば無理心中の如きものと言える。
それ以前、金光隊長は「大きな砲弾」の直撃で壕が崩壊し、生き埋めになり(二七六頁)、この時は真鍋大尉が指揮していたが、毒殺の命令が、彼からか、それともその下の者によるかは不明である。
いずれにせよ無理心中的な「慰安婦」毒殺の命令は出されたが、必ずしも現場で実行されなかったことは、日本兵と「慰安婦」の絆の強さによるものと言える。
3)木下、里美、亀川たちが九月七日早朝に脱出しようとした時、「ひとかたまりの兵隊たちが〈お前たちばかり逃ぐるちゅうことはいかんじゃなか〉と詰め寄った」という(四〇五頁以降、以下同様)。
これに対して木下中尉は「上司の命令」で「連れて行くわけにはいかん。ついてくるも、いかんも、ついてくればしょうがないばってん」と答え、黙認を示唆した。そして、木下の黙認は、部隊の黙認でもあったと考える。
里美たち三人に「おとこ、おなごで七、八人」(女は三人で全員日本人)が「ついて」いったと記されており、合計十名という人数が守備隊で動けば、知られないはずはない。
従って、残った兵隊と「慰安婦」は玉砕を覚悟して黙認したと考えるのが現実的である。ただし、この限界状況における阿吽の呼吸(暗黙の合意)は伝えられず、ただ洞察するしかない。
4)脱出した後、里美たちは「高さが二〇メートルもある草むらの崖を飛び降り」、川幅が「四〇メートルくらい」で「胸まで深い」流れを渡り、対岸に着くと、中国軍に発見されて銃撃を受け、みな「バラバラ」になった。
里美は夜になり、中国人に会い、泊めてくれと頼むと(彼は中国語が話せた)、「警戒が厳しいからといって牛小屋に寝かせてくれ」、また「間道」を教えてくれた。
その後、里美は他の者と「昆明の収容所で会った」という。
5)また、鳥飼一等兵(後に兵長)に、品野が「拉孟玉砕を書いた戦記ものに、金光守備隊長の仲人で相愛の兵と慰安婦が結婚して玉砕したなどと書いたものがありますが、そんなことがあったでしょうか」と質問すると、鳥飼は、次のように答えた(『異域の鬼』三一四~三一五頁)。
「そんな事はあり得ん。また金光守備隊長を神様のように書いとるが、あれも嘘だ。金光少佐は壕の中ばかりにいて、戦死した時も壕のなかにはいっとったという話だ。実際に陣頭指揮をとって戦ったのは真鍋大尉だ。きびしい人だったが、兵から尊敬され、三カ月も持ちこたえたのは真鍋大尉のみごとな指揮統一があったからだ。」
鳥飼は金光隊長を低く評価しており、里美とは異なる。ただし、品野は早見上等兵の証言を踏まえて、次のように述べている(三九三頁)。
「兵から叩き上げた実直で優しい金光少佐は砲兵の兵隊に敬愛されていた。彼はここでは一番の年長者でもある。惨めに死んでゆく若い部下をみすみす見殺しにしていかねばならぬ苦渋の中で、自分も誰に看取られることもなく骨を拉孟に埋めた。その厳粛な『事実』こそが、金光少佐の本望ではなかったか。どんな百万言の賛辞を並べられるよりも…。」
鳥飼は直接「陣頭指揮」を受けた真鍋を高く評価しているのであり、全体を見渡すことができれば、隊長としての金光の評価が改まるかもしれない。叩き上げの経験豊富で度量の大きい金光隊長、厳しい現場指揮官の真鍋大尉の組み合わせが、拉孟守備隊の粘り強い強靱さをもたらしたと言えよう。
6)先述の「金光守備隊長の仲人で相愛の兵と慰安婦が結婚して玉砕した」という点についても、一概に否定できない。それは「手榴弾で自決した者もおり、そば杖を食ったらしい慰安婦の死体もあった。兵と仲良しになっていた慰安婦もいたから、一緒に死んだのかも知れない」という可能性を捨てきれないからである(三二四頁)。
そもそも守備隊において正式な「結婚」ができるわけがない。「戦闘がひどくなると、慰安婦たちも兵舎のある陣地で兵たちと一緒になって炊事の手伝いをしたり患者の世話をした。そんな慰安婦ともいちゃついていた将校もいたが、あとは女なんか構っていられなかった」という(三一九頁)。ただし絶望的な状況下で、身を挺して必死に奮闘する「慰安婦」と兵士の仲を、「実直で優しい金光」が認め、励ますことはできる。そして周囲も暗黙に祝福する。ここでも限界状況における阿吽の呼吸が洞察できる。
さらに、そのような場合、この「結婚」は、セクシュアルでも、生殖的でもなく、ひたすら精神的で、崇高でさえある。
(7)悲劇に接して覚えるわれわれの満足は、美の感情ではなく、崇高の感情である。かかる感情の最高度のものである―ショーペンハウアーより―
1)これまで雲南の戦場で「慰安婦」が日本兵と最後まで戦い抜き、玉砕した者がいたことを述べてきた。これについて、千田夏光は『従軍慰安婦 正編』(三一新書、一九七八年)の第五章で、「中国軍に投降した朝鮮人慰安婦が伝えたもの」であるとして、次のように述べている。
拉孟の守備隊長は、「慰安婦」は「兵隊」ではないから「後方へさがって貰いたい」との指示したが、これに対して、彼女たちは「私たちも兵隊さんのお手伝いします。お国のためと思えばこそ、ここまで来て兵隊さんを慰めてきたのじゃないですか」と答えた「らしい」(一三五頁)。その時、「慰安婦」は十数人いて、その「うち少なくとも七人」は「兵隊さんと最後まで一緒にいます」と言ったらしい(同頁)。
さらに戦況が悪化したため、守備隊長は「軍人でないお前たちに命令はできないが、これは世話になった兵隊にかわって、守備隊長としての勧告というより頼みだ」と告げたが、彼女たちは「兵隊さんたちと最後まで一緒にいさせて下さい。私たちも兵隊のつもりです」と応じた(一三六頁)。
そして玉砕を前にして、九月七日、動けない傷病兵に自決命令が下ったとき、日本人「慰安婦」が朝鮮人「慰安婦」に「あなた方はお逃げなさい。何も日本に義理だてることはないわ。命を大切にしてお国に帰りなさい。同じ東洋人だから中国兵もひどいことしないと思うわ。私たちは兵隊さんたちの後をここで追うから」と勧め、その後「突入した中国兵が数えたときその遺体は七体だったという」(一三八頁)。
2)千田は、日本人「慰安婦」が玉砕し、朝鮮人「慰安婦」が「投降」したと記しているが、品野は、生存者の聞き取りから、日本人「慰安婦」にも脱出した者がおり、この説に異論を出している。
しかし、これまでブログで取りあげてきた記録写真では、朝鮮人「慰安婦」の遺体と説明されており、朝鮮人「慰安婦」も玉砕・散華した可能性がある。
この点に関して、前掲『波乱回顧』では、「全く日本婦人と変り、兵の服を着用し炊さんに握り飯つくり、患者の看護等に骨身を惜しまず働いて呉れたが、気の毒なことであった」とある。「日本婦人と変り」とは、日本人「慰安婦」が「日本婦人と変り」とだけでなく、朝鮮人「慰安婦」がそのように変わったとも読める。
また、第五飛行師団第四飛行団飛行隊長小林憲一の証言では、「もんぺ」のように見える「軍袴」を着た「慰安婦」がいたという(西野『戦場の「慰安婦」』一〇三頁)。そして朴永心も「日本軍の防暑服」を上着にしていた語った(西野一〇四頁)。
他方、アメリカ軍の医療スタッフの治療を受けている朝鮮人「慰安婦」はワンピースを着ているが、「同じ壕にいた兵は全員玉砕したという」(写真①や②)。つまり、最後まで戦い抜いた女性は、「兵の服」を着た者だけでなかったことが分かる(たとえ最後に脱出したとして、その重みは変わらない)。
ここから、私は「兵の服」を着た女性は下士官クラスで、そうでない女性を指揮していたと推論する。そして、後者には朝鮮人「慰安婦」がいたと考えられる。即ち、日本人と朝鮮人の中で志願した女性が玉砕したのである。
3)千田は、女性たちが兵隊たちと共に玉砕した理由は「“テンノウヘイカノタメ”的なものに殉じた」と解釈する(『従軍慰安婦 正編』一三九頁)。確かに「お国のため」という言葉が引用されており、そのように表現されたのであろう。ただし、それはまさに身を以て兵隊たちと一心同体の如き体験を実感したことに裏打ちされており、決して空虚なスローガンではなかったと考える。
他方、品野は聞き取り調査では「天皇陛下万歳と叫んで死んだ」者はいたかと必ず質問し、ほとんどいないという証言を得る(『異域の鬼―拉孟全滅への道―』二六八頁、三六三頁、三七〇頁など。「天皇陛下万歳と叫んで死んだ」のは士官学校出身者くらいという者もいた)。ここでも二人の相違が現れている。
また、千田が三一新書を「改訂版」とした理由を「かつて従軍慰安婦の草刈り場にしていた朝鮮へ取材に行き、眼をおおうキーセン観光にソウルの街でたちすくんだ。キーセン観光に狂う日本人に、往事の軍刀を鳴らしまくる軍人の姿が重なって仕方がなかった。この思いを『続・従軍慰安婦』にいれたが、考えていくと、これはレポートなのでありレポートにおいて思いは蛇足である。/従ってその部分を削除した」と説明している点も注意しなければならない(『従軍慰安婦 正編』一〇~一一頁。強調原文)。それは、これにより、半島の問題が捨象されたためである。
私は「慰安婦」も「キーセン観光」も、加害の側の日本人とともに、それに応じて女性を動員し、提供する半島人の追従、自発的服従という問題も注意しなければならないと考える。千田は「思い」と表現するが、問題意識を自主規制したとも捉えられる。
このようなわけで、私は、両者の見解を他の資料と比較検討し、多角的に考え、史実に迫るように努める。
4)品野は多くの関係者の証言を収集し、『異域の鬼―拉孟全滅への道―』にまとめた。
私は『アイデンティティと戦争』で述べたように、品野の著書を評価する。防衛研修所戦史室編「戦史叢書」(朝雲新聞社)、松井連隊長『波乱回顧』、雲龍会編『拉孟・騰越玉砕の実相』、楳本捨三『壮烈拉孟守備隊』(光文社NF文庫)等々より詳しく、史実に迫っていると言える。そして私は彼ともに現地調査やフォールド・ワークも行った(途中で現地当局により中断されたが)。
しかし、品野は日本共産党京筑後援会の会長を務めるなどの思想的政治的な立場・視点があり、それが歴史を捉えるときの選択や判断を規定している(偏見とまでは言わず、また『異域の鬼』の記述を全面否定するつもりもない)。明確な視座は事物を捉える上で、むしろ必要であり、私もそうであるように努めており、それ故、私は品野の選択や判断を尊重するが、その上で、彼とは異なる考え方を提出し、より多角的に史実を検証するように努める。
5)品野は「日本人慰安婦が死に化粧をして、青酸カリをあおり、朝鮮娘を逃がしたなどと書いた戦記は嘘っぱちだ。誰もがいうように青酸カリなどありはしなかった」と述べている(『異域の鬼―拉孟全滅への道―』三二四頁。三一五頁や三二四頁も参照)。また、「日本人慰安婦が朝鮮人慰安婦を逃がし、自分らは死に化粧して自決した」ことは「軍国美談調の伝説」であり、「五人ほどだった日本人はほとんど助かっていることになる」から、その「伝説」は「崩れ去った」と指摘している(三四九頁)。
ただし「ほとんど助かっている」ことは、助からなかった、換言すれば玉砕した日本人女性もいた可能性があることを意味している。即ち、自分は「死に化粧」して自決するが、その前に朝鮮人「慰安婦」(サブ・リーダー)を逃がした日本人「慰安婦」(リーダー)がいた可能性を意味している。金春子のいう「おかあさん」という女性である。
「慰安婦」といっても明確に区分されてはおらず、客はとらずに「慰安婦」たちを管理していた女性(「おかあさん」やそれに準ずる存在)もいた。そのような地位で、前記の「五人ほど」には含まれない日本人女性が、蛇の道は蛇で、中国側と密かに連絡をとり(売笑は本来的にグレーゾーン)、「死に化粧」して自決する際に、朝鮮人「慰安婦」を逃がした可能性は否定できない。
なお、品野は、そのような美談は、その基となる生存者の手記に既に美談が含まれており、その「心情はわかるような気がする。(略)あえてそれを否定したくないし、死んだ将兵の最後は潔く書いたやるのが戦友たちの『つとめ』なのである」と述べている(三二五頁)。私も、その「心情」を分かるように努め、そして伝える。
6)「美談」に過ぎないという品野自身、先述したように「手榴弾で自決した者もおり、そば杖を食ったらしい慰安婦の死体もあった。兵と仲良しになっていた慰安婦もいたから、一緒に死んだのかも知れない」と述べている(三二四頁)。少数でも、このような例が証言されているのである。
また千田は「昼間最前線で血みどろになって闘い、鮮血まみれとなって帰ってくる兵隊たちを夜になると慰める」とあるが、「彼女らの衣服もまた、兵隊たちのしたたらせる血糊で赤く染まっていたという」と記している(前掲『従軍慰安婦 正編』一三六~一三七頁)。この「慰める」は、「慰安婦」としての営為を超え、セクシュアル以上の、極限状況における身心的な崇高さを思わせる。
決して欲望に溺れてはいない。そうであれば内側から崩壊し、陥落する。それ故、この当該部分を、私は厳粛に読む。
「士は己を知る者のために死す。女は己を見て悦ぶ者のために化粧する」というが、これまで述べてきた「慰安婦」は「己を見て悦ぶ者のために化粧し、死す」であると認識する。たとえ少数であっても、その生き方、死に方に注目すべきである。
そして仮に彼女たちが生きていたら、今の「慰安婦」の発言に、どう言うだろう。
被害の証言を軽視していいというのではない。より多角的に歴史を考察することにより、より現実的な理解を得ることができる。微妙な細部を捨象してはならない。個々に異なる人間を理解するには、細部の微妙な差異が重要である。
7)いよいよ最後=玉砕に向かうという、激戦の限界状況においても限界の極致という最終段階で、日本人・朝鮮人の民族を超え、各自の実存が下した決断が玉砕であったと、私は捉える。
各々文字通り身を以て日朝/日韓の強い絆を示した。口先だけで、あるいは下心を抱いて日朝/日韓の友好を説く者は、心してこの史実を正視すべきである。
ショーペンハウアーは「悲劇に接して覚えるわれわれの満足は、美の感情ではなく、崇高の感情である。いな、それは、かかる感情の最高度のものである」と提起した(ショーペンハウアー/塩屋竹男他訳『全集』第六巻、白水社、一九七三年、三七八頁)。彼は詩を論じるなかで、こう述べたが、雲南の日本軍守備隊で兵隊(半島出身者もいたかもしれない)と日本人・朝鮮人「慰安婦」は、それを実践したと、私は考える。黙祷
(8)歴史が評価を下す―日本兵と玉砕・散華を選んだ「慰安婦」の偉大さ
―ソクラテス、イエス、パスカル等から
1)「朝鮮人慰安婦は、欺されて連れてこられた純情な素人娘が多かった」(『異域の鬼』八二頁)と述べられている。これは雲南に限らず、金春子もその一人である。
そして、雲南において玉砕に向かう守備隊で「本当に頭の下がることがあった。それは、砲弾と雨のなかをくぐり、乾麺麭の空缶にいれた将兵の握り飯を、二人一組になって運ぶ朝鮮人慰安婦の姿だった。/炊事場は、ずっと山の下のクルミ谷へ降りる中間の横穴にあった。その辺りにも敵弾が撃ち込まれている。少しでも煙が出ると直ちに迫撃砲の集中砲火をうけるから、夜、火の明かりが漏れないように横穴の入口に軍用毛布を幾重にも張って、煙にむせながら炊事をしている。当時はまだ炊事軍曹がいて、兵たちが飯を炊き各隊から兵隊が取りに行っていた。一線がひどくなってからは慰安婦も運搬してくれたが、いよいよ混戦になってのちは食事もほとんど届かなくなり、小豆の塩煮缶詰などでわずかに食いつないだ。」(『異域の鬼』二六七頁)。
純情で騙され、それが続いて愚かな結果になったと否定できるだろうか?
タナトスに魅入られない限り、誰も死を望まない。しかし、それに向かっていることが分かっても、なお真面目に勤勉に務めを果たす者がいる。それは愚直と言えるが、狡猾に立ち回る者より、むしろ尊厳があり、偉大である。
2)確かに、金春子の場合、以下のように、①故郷の両親に累が及ぶことを恐れ、また②勲章などの名誉に引かれている(ただし金儲けや出世のためではない)。
①『女の兵器』一九〇~一九一頁
危険な前線に巡回に出る前にピストルを渡され、それで応戦し、最後の一発は「耳のところにあててひき金をひ」けと自決に使うように指示され、「まあ、怖い」と言うと、「怖くても仕方ない。そう思った時はあの世に行ける。おまえたちは、皆、やまとなでしこなのだから、もしもの時も敵の捕虜になるわけにはいかないのだよ」と言われた。
彼女は「そうね。捕虜になったら、くにのお父さんやお母さんは、憲兵隊にひっぱられるんでしょう」と言うと、「そうだよ」と答えられた。
②同前、九六頁以降
金春子が担当の長井軍曹に「私たちは兵隊さんと同じなのですか」と尋ねると、彼は「そうだ。まったく同じだ。あるいは兵隊よりも、もっと大事な存在かも知れんな」と答えた。
そして、彼女が「それじゃ、手柄をたてたら勲章もらえますか」と聞くと、次のような会話となった。
「勲章ねえ」
さすがに長井軍曹は困ってしまったらしく考えこんだ。
「私、勲章をもって、故郷に帰りたいわ。そうすれば皆感心してくれるわ」
「そりゃあ、立派に戦って戦死か負傷でもすれば勲章ももらえないことはないと思うがね、女の身ではなかなか難しいかもしれないなあ。しかし、金の方はうんと儲かるぞ。一生懸命働けば、一年で千円や二千円は貯金ができる。それを故郷の両親へ送金することもできるのだから、安心して働くがいいさ」
私はびっくりした。愛国奉仕隊へ入るというのだから、無給か、兵隊さんと同じくらいに安い給料で働かされるのだとばかり思っていたからである。
「そうさ、儲かるさ。みんな、金持になって、中には、支那の北京や、天津へ行って、その金で料理屋をやり、出世している者もあるよ。ちゃんと故郷から両親を呼び出してな、立派にやってるよ」
私はそれほど出世したいとは思わなかった。
それに故郷を離れて暮らすのは、何と言っても淋しいことだった。
これを、平和な時代に生きる者が、彼女は飴と鞭で統制されたと片付けていいだろうか? 巨大な複合的暴力が暴走する中で、彼女には選択の余地はなかった。しかし、その運命を、彼女は前向きに受けとめ、真面目で勤勉であった。
3)このような「慰安婦」は誠に健気であり、まさに「本当に頭の下がること」である。そして、私はパスカルの「考える葦」を想起する。
「人間は自然のうちで最も弱い一茎の葦にすぎない。しかしそれは考える葦(le roseau pensant, the thinking reed)である。これを押し潰すのに、宇宙全体は何も武装する必要はない。風のひと吹き、水のひと滴でも、これを殺すに十分である。しかし、宇宙がこれを押し潰すときにも、人間は、人間を殺すものよりも一そう高貴だろう。何故なら、人間は、自分が死ぬことを知っており、宇宙が人間の上に優越することを知っているからである。しかし、宇宙はそれについては何も知らない。」(『パンセ』断章347)
「人間の偉大は、自分が悲惨であると知る点において偉大である。樹木は、自己の悲惨であることを知らない。それ故、自分の悲惨を知ることは悲惨だが、しかし、偉大であることは、まさに悲惨であると知ることなのである。」(『パンセ』断章397)
彼女たちも自分が弱く悲惨であると知っていたはずである。その上で、生きる限りは前向きに真面目に勤勉に生き、そして死に向かって進んだ。
4)歴史を振り返れば、自覚して死に向かった生き方の偉大さは、枚挙に暇がない。
①ソクラテスは「真の哲学者が死ぬことを心がけているものであり、彼らが何びとよりも死を恐れないものであるということは本当なのだ」と述べ(田中美知太郎、池田美恵訳『ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン』新潮文庫、一九六八年、一二六頁)、実際、衆愚政治の大衆裁判で自決の判決が下されると、厳粛に受け入れた。
②イエスは「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ。自分の命を愛する者は、それを失うが、この世で自分の命を憎む人は、それを保って永遠の命に至る」(「ヨハネ福音書」一二章二四~二五章)と説き、実際に十字架の処刑へと進んだ。
③仏陀の前世の話を集めた『ジャータカ』では、王子の時代、飢えた雌トラに出会い、雌トラには七頭の子トラがいるが、このままでは生き延びるために我が子を食らい、さらに他にも犠牲者が出るかもしれないと見通し、崖から身を投げ、自らを雌トラに与え、七頭の子トラの命を救う(輪廻転生で我が身を犠牲にした王子は仏陀に、七頭の子トラはやがてその弟子に生まれ変わる)と伝えられている。
④「我に自由を与えよ。さもなければ死を与えよ(Give me liberty, or give me death)」という、アメリカ独立戦争を指導したパトリック・ヘンリーの発言は、圧倒的で冷酷なナチス・ドイツ軍に抵抗するレジスタンスやパルチザンの合言葉になった。これをジャン=ポール・サルトルは「私は自由であるべく運命づけられている」、「われわれは自由へと呪われている/われわれは自由の刑を宣告されている」と表現した(松浪信三郎訳『存在と無―現象学的存在論の試み―』第三巻(サルトル全集第二〇巻)人文書院、一九六〇年、二九頁、一二六~一二七頁。伊吹武彦訳『実存主義とは何か―実存主義はヒューマニズムである―』(サルトル全集第一三巻)人文書院、一九五五年、二九頁)。
5)このような死生観の精神史を踏まえると、玉砕・散華を選んだ「慰安婦」に偉大さを見ることができ、それは出撃・散華した特攻隊員に比肩すると考えている(いずれにも朝鮮人が含まれており、民族を超えている)。それを日本帝国主義や軍国主義に還元して、誤りや無意味と見なすとしたら、レジスタンスやパルチザンに多くいた社会主義者や共産主義者を、東欧・ソ連の崩壊に帰結したイデオロギーや政治体制に還元して、誤りや無意味と片付けることと同然である。一人一人の生と死は何ものにも還元できない。
6)そして、雲南で玉砕・散華した朝鮮人「慰安婦」について言えば、今や無言の彼女たちと、いつまでも「恨」に囚われ、叫び続ける元「慰安婦」との対比では、その評価を歴史が下すことになる。
儒教と科挙の歴史で形成された文化は、修辞が発展しすぎ、舌先三寸のずる賢さを賢さと見なし、正直者がバカを見る偽善を助長した(アジア的停滞)。愚直で騙されたが、その運命を受けとめて実直に頑張った純情で一途な生き方を省みず、恨みつらみを言い続ける者を殊更に取り上げ、政治や外交に利用・悪用することは、「恨」というコンプレクスを歴史や伝統にして、民族を傷つけ不幸にするだけである。
における企業業務型裁量労働制の導入をめぐって/衆議委員予算委員会 公述人上西教授
「働き方改革」における企画業務型裁量労働制の導入をめぐって
2018年2月21日
法政大学キャリアデザイン学部教授 上西充子
1. はじめに
法政大学キャリアデザイン学部の上西充子と申します。今日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。私は、現在の国会質疑の中でも大きな論点となっている、裁量労働制の労働時間の実態把握をめぐる問題を取り上げます。
予算委員会の公述人意見陳述のテーマとしては、テーマ設定が狭すぎるとお感じの方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、この問題は、単にデータの不備という問題ではなく、政府の審議会における政策立案プロセスの問題や、政府の国会対応の問題を凝縮して示してみせた事例と考えています。つまり、氷山の一角のように問題が顕在化した例であると考えられるのです。そのため、単にデータをめぐる問題としてではなく、そういった広がりをもった問題として、国会議員の皆さんや、この国会審議を見守っている国民の皆さんにも捉えていただきたいと思います。
一般の労働者に比べて企画業務型裁量労働制の労働者の方が、平均的に見れば、労働時間が短いかのような安倍首相の1月29日の答弁は、2月14日に撤回されました。19日には厚生労働省から報告があがり、明らかに比較すべきではないデータが比較されていたことが判明しました。しかしながら昨日20日の国会審議の中で、安倍首相と加藤大臣は、撤回した答弁で言及したデータについては、撤回するのかどうか、わかりにくい答弁をしています。そして、調査結果は労働政策審議会に示されたものの、比較データは労働政策審議会に示されていたものではないとして、予定通りの一括法案を国会に提出する姿勢を示しています。
私はそのような政府の一連の対応に、強い疑問を抱くものです。政府の政策立案と政策の実行が適正なものであってほしい、国会も正常に機能するものであってほしいという気持ちで、この参考人意見陳述の場に立っています。
2. 裁量労働制とは
裁量労働制とはどのような働き方であるか、この点は、既に午前中の公述人意見陳述と質疑の中でも明らかにされていますが、あらかじめ決められた「みなし労働時間」について賃金を支払うものです。そのみなし労働時間を超えて働いたとしても、残業代を支払う必要はありません。そのような働き方を大幅に拡大しようというのが、今回の「働き方改革」一括法案で行おうとしていることです。
この裁量労働制を拡大することは、違法状態の合法化につながります。サービス残業は違法ですが、みなし労働時間を超える残業に残業代を支払わないことは合法です。つまり、今は「サービス残業」を労働者に強いている企業が、同じことを合法的にできるようになるのです。経営者にとっては「おいしい話」ですが、労働者にとっては長時間労働の歯止めがなくなります。「定額・働かせ放題」と言われるゆえんです。
にもかかわらず、政府は、「長時間労働が助長される」、あるいは「過労死が増える」という野党の指摘に、誠実に向き合おうとしていません。健康確保措置は、医師の面接指導でもよいとされています。「みなし労働時間」と実労働時間が大きく乖離する場合には、労働基準監督署が厳しく是正指導を行うかのような答弁もされていますが、その乖離だけをもって是正指導を行う根拠規定は法改正の内容には盛り込まれていません。労働基準監督官の増員も計画されておらず、厳しい指導に期待することはできないのが現実です。
政府は答弁で、メリハリをつけて働くことができるとか、病院にも行けるようになるとか、育児との両立がしやすいとかのイメージを広げていますが、印象操作の域を出ないものです。現行の労働時間法制のもとでも、柔軟に働くことは可能です。有給休暇も、より活用されるべきものです。
このように労働者にとってはメリットが見えにくく、一方で経営者にとっては「おいしい」制度である裁量労働制は、1987年に初めて導入され、1998年の法改正によって、企業の中枢部門のホワイトカラー労働者に拡大されました。今、この後者の企画業務型裁量労働制を、さらに提案型の法人営業職などに対象を広げることが予定されています。高度プロフェッショナル制度とは異なり、年収要件もなく、有期契約労働者にも適用が可能な制度であるため、かなりの範囲の労働者に適用される可能性があるにもかかわらず、これまで「働き方改革」の中で、裁量労働制を拡大することは、政府は積極的に語ってきませんでした。あえて、そこに注目が集まらないように、時間外労働の上限規制と同一労働同一賃金という、働き方改革の二枚看板を表に掲げ続けてきた、とも言えます。
3. 裁量労働制の労働時間をめぐって
(1) JILPTの調査結果
この企画業務型裁量労働制を拡大しようというのであれば、まずは実態として長時間労働になっていないのか、なっているとすれば、それはなぜであり、どう対処すべきなのかが、法改正に先立って検討されなければなりません。その意味で、裁量労働制のもとで働く労働者の労働時間の実態を把握することは、きわめて大切です。にもかかわらず、その労働時間をめぐって、政府が答弁で使い続けたデータの比較が、極めて不適切なものであったことが判明した、というのが現在の状況です。
裁量労働制のもとで働く労働者の労働時間を把握した調査結果は、他に、より適切なものが存在しています。野党がしばしば言及している、労働政策研究・研修機構、JILPTと略称で呼ばれますが、その調査研究機関が2014年に実施した調査であり、労働者と事業場、それぞれに調査を行っています。調査結果は、調査票や基本クロス表と共に、このように冊子で公開されています。調査シリーズの124と125です。冊子の内容は、ホームページで全文をPDFで読むことができます。
●労働政策研究・研修機構(2014)「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果事業場調査結果」調査シリーズ No.124
●労働政策研究・研修機構(2014)「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果労働者調査結果」調査シリーズ No.125
このJILPTは厚生労働省の管轄の調査研究機関であり、これらの調査はまさに厚生労働省の要請に基づいて行われたものです。
労働者調査の結果によれば、お手元の配布資料の2ページ目のグラフにあるように、企画業務型裁量労働制のもとで働いている労働者の1か月の実労働時間は、通常の労働時間制のもとで働いている労働者の実労働時間よりも、長い傾向が見て取れます。平均で見ても同様に、企画業務型裁量労働制の場合は194.4時間であるのに対し、通常の労働時間制の場合は186.7時間と、企画業務型裁量労働制の方が、労働時間が長くなっています。政府答弁の内容とは反対の傾向を示しているのです。
平均労働時間(1か月)
●専門業務型裁量労働制 203.8時間
●企画業務型裁量労働制 194.4時間
●通常の労働時間制 186.7時間
(2) 比較データ
では、他方で政府がこれまで答弁に用いていた比較データの方は、どのようなデータだったでしょうか。安倍首相が1月29日の本予算委員会で言及し、2月14日に答弁撤回に至ったデータは、3ページの表の「平均」の欄にある9時間16分と9時間37分を比較して、企画業務型裁量労働制の方が、平均的な方で比べれば、労働時間は短い、とするものでした。
(出所)民進党ホームページ:「働き方改革虚偽データ疑惑」野党合同ヒアリング(2018年2月15日)
この比較データに基づいて、1月29日に安倍首相はこの予算委員会でこう答弁しています。
この比較データは2015年に山井和則議員に対して、また2017年に長妻昭議員に対して、当時の塩崎厚生労働大臣が示したものです。また、その答弁に先立って、先の比較データは、2015年3月26日に厚生労働省が民主党の厚生労働部門会議にはじめて提供したものであったことが、最近になって厚生労働省から明らかにされています。
つまりこの比較データは、2015年の国会審議に向けて、野党に議論の前提となるものとして、共通認識をもってもらうために、厚生労働省から示されたデータであったと考えることができます。私は、裁量労働制が長時間労働を助長するという指摘を民主党がしにくくなるように、また政府の反論をデータに基づくものだと誤認させるように、民主党対策として、また広く野党対策として、この比較データが作られたものと考えています。
このあたりはぜひ、検証作業を進めていただきたいですが、2015年の塩崎大臣の答弁の中で、「実は」「むしろ」という形でこのデータに言及があること、また2017年の塩崎大臣の答弁の中で、他の調査結果を「いろいろな調査」と位置づけた上で、それに対して「厚生労働省自身の調査によりますと」と、より信頼度が高いもののようにこの比較データが言及されていることから、やはり野党の指摘に対する反証データとして、この比較データが使われていたことは明らかと考えます。
1月29日の安倍首相の答弁と、1月31日の加藤大臣の答弁も、まさに長時間労働や過労死の観点から裁量労働制の拡大に反対する長妻昭議員や森本真治議員に対して、それぞれ反証として示された比較データでした。「それぞれのファクトによって、見方は異なってくる」という加藤大臣の答弁は、まさにそのような狙いを示しているものととらえることができます。
(3) 比較データの問題点
この比較データについては、2月5日以降、野党から次々に問題点の指摘があがり、2月14日の安倍首相による答弁撤回に至ります。2月19日には厚生労働省より、根本的に比較に適さないデータであったことが、ようやく明らかにされました。
ここで簡略に、この比較データは何が問題なのか、紹介させてください。
まず、この比較データは、「厚生労働省の調査によれば」と答弁で言及されましたが、調査結果そのものではありません。一般労働者についての9時間37分というデータは、公表冊子である「平成25年度労働時間等総合実態調査」には含まれていません。
第2に、答弁では、あたかも平均を比べたものであるかのように紹介されていましたが、これは「平均的な者(しゃ)」についてのデータでした。加藤大臣は2月8日になってから、「平均的な者(しゃ)」と、言及の仕方を変えています。
本来であれば、特別な定義がある「平均的な者(しゃ)」については、2015年の答弁の当初から、そのようなものとして紹介されるべきでした。2015年3月26日に厚生労働省が民主党に比較データを提供したときも同様です。にもかかわらず、いずれの場合も、定義は紹介されていませんでした。
第3に、一般労働者の「平均的な者(しゃ)」の労働時間の9時間37分とは、実労働時間ではありませんでした。加藤大臣は1月31日にこれを「1日の実労働時間ですが」と答弁していますが、2月9日に山井議員に対して加藤大臣が答弁したように、これは調査結果そのものではなく、1日の法定時間外労働の平均に法定労働時間の8時間を足し合わせるという計算式によって求めた値でした。しかし計算式によるものであることは、民主党に提供された比較データに記載はなく、答弁でも言及がありませんでした。
また、この計算式は労働時間をとらえる上では、不適切なものでした。法定時間外労働の平均に8時間を足すという計算式では、例えば7時間30分の実労働時間である者も8時間働いたものと過大にみなされてしまいます。そのような過大評価は、個票データを見直しても修正することはできません。法内残業の値を調べていないからです。従ってこの計算式によって算出した9時間37分という数値は、1万件のデータを精査するまでもなく、不適切なものとして撤回されるべきでした。
さらに19日になって厚生労働省から明らかにされたところによれば、法定時間外労働の1時間37分という平均値は、1日の法定時間外労働の平均値と説明されていましたが、実は「最長」の日の1日の法定時間外労働の時間を尋ねて、その平均値をとったものでした。
2月9日に山井議員に対して加藤大臣が計算式を説明した際には、すでに7日に厚生労働省担当者から「最長」であることの説明を受けていたはずですが、加藤大臣は「最長」の1日のデータを使っていることを説明していません。これは、いたずらに質疑を長引かせるものであり、また虚偽答弁であったと考えます。
さらに、この1日のデータは、公表冊子に収録されていないものでした。不自然な数値がそこに含まれていることも指摘されています。
第4として示したものは、先ほど言及した通りです。一般労働者の「平均的な者(しゃ)」の9時間37分という労働時間を算出するために使われた計算式では、「最長」の1日のデータが使われました。企画業務型裁量労働制の方は、「最長」の1日について尋ねているわけではありません。
このことは配布資料に掲載した調査票(下記)を見れば一目瞭然ですが、野党の追及に対し厚生労働省は、この調査が臨検監督の一環であるという理由で、調査票の開示を拒んでいました。
(出所)民進党ホームページ:「働き方改革虚偽データ疑惑」野党6党合同ヒアリング第3回を開催(2018年2月16日)
このように、様々な意味で、一般労働者の9時間37分という数値は実態よりも過大なものでした。それと比べて企画業務型裁量労働制が9時間16分で20分ほど短いからといって、「実は」「短い」という判断を下せるものではないことは、これまでの説明で明らかでしょう。
さらに第5に示したように、企画業務型裁量労働制については、把握したものは労働時間ではなく、「労働時間の状況」と調査結果に示されているものであり、出退勤時刻などによって把握されていた時間です。このように違うものを測っているのですから、そもそも比較すること自体が不適切なものです。これも、1万件の個票データを精査するまでもなく、あきらかなことでした。
4. 労働政策審議会の議論との関係
さて、このように比較データの不適切さが明らかになる中で、政府はこの比較データは労政審に示したわけではないと答弁し、法案審議に影響を及ぼさなかったと強調しています。しかしながら、この比較データが労政審に示されなかったからといって、労政審で適切な審議が行われたと判断することはできません。
私がそう考える理由を2点、述べさせてください。
第1に、この平成25年度調査の結果は、2013年の9月27日の第103回労政審労働条件分科会で、裁量労働制の見直しのための実態把握をおこなうものとして分科会委員に示されており、今後の労働時間法制の検討の際に必要となる実態把握をおこなったものと位置づけられています(議事録および資料2-2)。議論の出発点にしていただければとも紹介されています。実態把握調査を踏まえて裁量労働制の見直しをはかることは、同年6月14日の日本再興戦略の閣議決定に定められていることです。
にもかかわらず、労働条件分科会では、比較データは示されなかったものの、一般労働者の「平均的な者(しゃ)」の1週の法定時間外労働のデータが、「最長」の週のデータであることの説明がないまま、普通の週のデータであると受け取られる形で第104回の労政審労働条件分科会(2013年10月30日)に紹介されています(議事録)。それはつまり、実際には過大な数値であったものが、通常の数値であるかのように紹介されたということです。
その分、裁量労働制の労働時間との比較において、一般労働者の労働時間の実態について、不適切な情報を労政審の委員に与えたことになります。
第2に、これは質疑の中で明らかになっていることですが、この労働条件分科会には、より詳細で、より調査設計がきちんと行われているJILPTの調査結果(労働者調査結果)のうち、労働者の労働時間の実態に関する部分が紹介されていません。
加藤大臣は、逢坂議員との昨日の質疑の中で、当初に厚生労働省から平成25年度調査のデータを議論に資するものとして出しており、その後、委員のご議論の中で追加的な資料が必要であれば、できるだけお答えする形で運用されていたという理解を示しています。
しかしながら、この平成25年度調査が紹介された第104回の労政審労働条件分科会(2013年10月30日)には既に、使用者代表委員より、企業が裁量労働制を取り入れる前と取り入れた後で働き方や労働時間の実態がどのように変化していったのかという切り口の調査が必要との指摘が行われており、事務局の村山労働条件政策課長は「承りました」と発言していることが、議事録に残っています。
JILPTの調査はそのような「変化」をとらえる調査ではありませんが、平成25年度調査よりは、詳細に裁量労働制による働き方の労働実態を、通常の労働時間制のもとで働く労働者の労働実態と比較した調査であり、その結果は先の使用者代表委員の求めに答える上でも、当然に提示されるべきものでした。建議までのプロセスで、既に冊子はできあがっており、配布できる状態にありました。冊子ができあがっていることへの言及も、第116回の議事録(2014年9月30日)に残っています。しかし「改めて精査したうえで、・・・ご報告したい」と村山課長がそこで説明していたものの、結局冊子は配布されず、本来委員に提供されるべき、労働時間の実態に関する調査結果は、存在してにもかかわらず、委員に提供されませんでした。
私はこのような経過に、不自然なものを感じざるを得ません。裁量労働制のもとで働く労働者の労働時間は通常の労働時間制のもとで働く労働者よりも長いという実態を労政審に示してしまえば、裁量労働制を拡大するという建議を出せなくなる、だからあえて実態調査結果を労政審に出すことを控えた、そう思えてなりません。
ですので、不適切な比較データが労政審に示されなかったからといって、法案提出に問題はない、とは言えません。裁量労働制の拡大の是非については、労政審の議論まで差し戻し、まずはJILPTの調査結果をそこできちんと検討し、必要があれば追加の調査を行い、そして実際に長時間労働になっているのであれば、どう実行的な歯止めをかけられるのか、そこから議論をやりなおすべきです。
今、政府は一括法案を提出する方針を変えていないようですが、そのような姿勢は、法制定プロセスとしての正統性を失ったまま法制定を強行しようとするものです。また、国会審議に誠実に向かった姿勢とも言えません。
もし、何も聞かずにとにかく数の力で法案成立を強行しようとしているなら、実態調査に基づく政策立案も、公労使三者構成による政策形成プロセスも、真剣な国会審議も、すべての土台を損なうことになります。
政策立案プロセスを正常化するためにも、また国会審議を正常化するためにも、今、政府には立ち止まって、裁量労働制の拡大と、さらに、同種の趣旨の高度プロフェッショナル制度の創設は、一括法案からはずすという決断をまず行い、そのうえで、改めてそれらについては検討プロセスをやりなおすことを求めます。また、今回の事態に至った原因究明と再発防止を求めます。
転載//スパコン詐欺事件「異例の捜査」で検察は誰を追い詰めたのか(河野正一郎)
スパコン詐欺事件「異例の捜査」で検察は誰を追い詰めたいのか
政界関係者の関与は?
「彼とは深く付き合わない方がいいと…」
東京地検特捜部が12月5日、スパコン開発会社「PEZY computing」(以下P社)の社長、斉藤元章容疑者らを逮捕した。経済産業省が所管する国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から約4億円の助成金を詐取した容疑が持たれている。
メディアにも多数出演・登場し、「スパコン開発の第一人者」といわれた斉藤容疑者が、「安倍首相に最も近いジャーナリスト」と呼ばれる元TBSワシントン支局長だった山口敬之氏と昵懇であったと報じられていることもあって、ネットでは「P社に多額の助成金が渡ったのは、森友学園や加計学園と同じく、”忖度”によって便宜が図られた、という構図なのではないか」などと憶測を呼んでいる。
助成金が認められる経緯に「忖度」があったのか、なかったのか−−。スパコンの「スパ」にひっかけて、「もりかけスパ」などと書き込む人もいるように、この事件は、逮捕容疑(=事件の本筋)とは別の「事件の背景」に注目が集まっている。
NHKの早朝の特ダネで事件が明るみに出た12月5日午前、私は、斉藤容疑者が米国で起業した頃に出会ったという知人X氏に「話を聞きたい」とメールを送った。すると、即座に折り返しの電話がかかってきた。X氏は早口でまくし立てた後、私にこう言った。
「“彼”とは深く付き合わないほうがいい、と何度も言っておいたのに…」
“彼”とは、山口敬之氏のことだった。
斉藤容疑者と山口敬之氏との関係を最初に報じたのは週刊新潮(2017年6月15日号)だった。山口氏がP社の顧問のような役割を務め、東京・永田町のホテル内の部屋(賃料月額が約130万円)を斉藤容疑者の資金提供を受けて使っていることを報じた。
(https://www.dailyshincho.jp/article/2017/06071659/?all=1)
X氏によると、斉藤容疑者はスパコンを研究機関などに売り込むとき、山口氏を同行させ、研究機関などの担当者に、「安倍総理の信頼が厚い方で、当社の顧問です」と紹介していたという。X氏も何度か山口氏と会ったことがあるが、話題は政治のことばかりで、「スパコンについては知識がない人なのだろう」という印象を受けたという。
斉藤容疑者は最近、X氏に「金が足りない。本当はコンピューターの製作をしたいが、このところは金集めが仕事の大半になってしまっている」と話していた。NEDOからの助成金で得られるのは開発資金の3分の2にすぎない。少なくとも3分の1は自前で調達しなければならなかったからだ。
X氏は、「斉藤(容疑者)は開発資金を提供してくれる企業経営者らを探せばよかったのに、大手企業からの出資を受けることには消極的だった」と話したうえで、こう付け加えた。
「その結果、国からの補助金を口利きしてくれる期待がもてる人と仲良くなったのだろう」
この発言はあくまでX氏の見立てだ。実際に山口氏がP社顧問としてどんな役割を果たしていたかはわからない。詐取した助成金の使いみちを調べていけば、わかることもあるかもしれない。
だが、別の人物もX氏と同じような感想を抱いていた。P社が開発したスパコンを導入予定だった研究者Y氏だ。
Y氏は斉藤容疑者とこれまで3回ほど会ったことがある。斉藤容疑者は山口氏を紹介したあと、「弊社はベンチャーですが、官邸との関係もあるので、信頼していただいて大丈夫です」と言い、隣りにいた山口氏は自著の『総理』をY氏に手渡したという。
Y氏は山口氏のことを知らなかったが、自宅に戻って渡された本を読み、P社を信頼したという。
Y氏に事件の影響を聞くと、途端に早口になった。
「たいへんなことになった。研究に大きな支障が出る。スパコンは納入されるのか。知っている情報があれば教えてくれませんか」
Y氏の素性を明らかにできないため、あいまいな表現になることをご了承いただきたいが、話を要約するとP社のスパコンには以下のような特徴がある。
▽計算性能が高い。
▽装置が小型(小さい体積)なので、装置を置く敷地が必要ない。
▽従来のスパコンに比べ、維持費や電気代がケタ違いに安い。
▽AI研究に勝った国が「次の産業革命の主役」と言われているなか、世界各国がいまAI研究に血道を上げている。P社のスパコンは日本が唯一リードする技術で、今後の研究に欠かせないものだった。
Y氏はこうも言った。
「2020年までにP社のスパコンを導入することを検討しており、どう活用するか研究者同士で話し合っていた矢先に事件が発覚した。P社が不正をしていたのなら、それは罰せられないといけない。だが、せめてスパコンが納入された後にしてほしかった……」
法治国家において刑法犯と疑われる人物を野放しにすることが許されるはずはないし、スパコンの納入が済めば、詐欺容疑が持たれているP社に利益が生じることになる。その点で、Y氏の悲鳴はお門違いの指摘にも見える。
一方で、次の世界的な産業革命の主役の座を射止めるか否かは、日本の“国益”をかけたテクノロジー開発競争といえる。今回、特捜部が事件に着手したことで、日本のAI研究スピードは世界各国に遅れをとることになるかもしれない。
刑法犯罪と“国益”を天秤にかけたとき、私はあえて批判されるのを覚悟したうえで、「Y氏の訴えは理解できないわけでもない」と思ってしまった。
検察の本当の狙い
捜査する側の東京地検特捜部も、そのような影響は検討したうえで事件に着手したと思う。それでも特捜部が強制捜査に及んだ背景に、「この事件を端緒に政治家を巻き込んだ汚職事件に発展するのではないか」という見方がある。
証拠資料のフロッピーを改ざんした事件が明るみに出た2010年以降、東京地検特捜部は政治家を逮捕する事件に着手していない。「最強の捜査機関」の復権をかけて、強制捜査に及んだのではないかというものだ。
だが、関係者の話を総合すると、その見方は早計のようだ。ある検察関係者は私にこう話した。
「検察が越年捜査するのは異例のことで、可能性は限りなくゼロに近いでしょう。特捜部は斉藤容疑者を年末に起訴して捜査を終了すると考えるのが自然です」
そもそも、国会議員には不逮捕特権があるため、国会が開かれている間に逮捕するには、国会での議決が必要になる。いま開会中の特別国会は12月9日に閉会する予定で、年明けの通常国会の召集日は2018年1月19日とも目されている。特捜部が国会議員逮捕を視野に入れているとすれば、かなりタイトな日程だ。
ある検察関係者は私に、今後の捜査の行方についてこう漏らした。
「捜査が進んで、仮に山口氏に違法な金が流れていたことがわかったとしても、大臣でもない山口氏には職務権限はないので収賄罪にはならず、問える罪は所得税法違反ぐらい。政治家ならさらに逮捕のハードルが上がる。そうなると、今回の捜査の結果は、世界でも高性能なスパコン開発が頓挫する可能性が高まるだけということになる。今回の事件着手には道理がないんです」
事件が着手された12月5日は、奇しくも山口氏から強姦されたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが慰謝料を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が開かれた日だった。
これについてある政界関係者は「特捜部の案件だから、官邸の了承を受けたうえで捜査に踏み切っているはず。山口氏が立件されるとは思えないが、事件との関連でいろいろと報道される。最近の山口氏の言動などを快く思わない官邸が、山口氏と関係を断つために事件を利用した、とみることもできるのではないでしょうか」と言い、こう付け加えた。
「仮に、今回の事件に政府が関与した疑いが出てきたとしても、特別国会が閉会すれば政府は追及される機会もないし、クリスマスと正月を過ぎれば、多くの人が事件のことを忘れ去っているでしょう。事件に着手するには最高のタイミングだったのかもしれません」
山口氏に今回の事件について、SNSと携帯電話のメールを通じ、斉藤氏との関係など尋ねたい項目を送った。返信がないため、直接電話すると、山口氏は「いま電話に出られないので、すみません」と言って電話を切った。混乱している様子はうかがえるが、元気そうな声だった。それ以後も携帯電話で接触を試みたが、今回の事件について詳細な取材をすることはできなかった。(回答があり次第、追記したい)
斉藤氏が事業について説明する場に同席していたとして、それで「山口氏の深い関与があった」とみるのも短絡的だろう。この事件にはどんな「背景」があるのか。今後、P社のスパコン開発は誰が担うのか、いや、そもそも開発自体が中止されるのか。誰かの「思惑」や「忖度」で国益が失われる結果になれば、被害者は私たちになる。
MP3
CDのサウンドデータをMP3形式でパソコンに取りこみたい【知っ得!虎の巻】
CDの音楽をパソコンに取りこむ目的としては、パソコンに音楽のデータを溜め込んで、ジュークボックスのように活用するほか、携帯音楽プレーヤーに転送するために一端パソコンに音楽データを保存したり、好きな曲を集めて編集しCDに焼いてカーオーディオなどで楽しんだり、といった使い方だろう。
これらの機器を使う場合、問題になってくるのが再生で対応するデータ形式だ。Windows Media Playerでは、初期設定のままCDの取り込みを行った場合、より容量の少ないデータにするためWMA形式のデータで圧縮し保存される。複数のデータ形式の再生に対応するオーディオ機器では、WMA形式にも対応することも多いのだが、中にはMP3形式の音楽データのみに対応というオーディオ機器も少なくない。
このような場合に対応するために、CDの音楽をMP3形式で取り込む方法を紹介しよう。
■知っ得 No.0061 Windows Media Playerの取り込み形式を設定しよう
Windows Media PlayerでCDの取り込みを行う場合、初期設定ではWMA形式によるデータ保存になるが、オプションの設定を行うことで別のデータ形式で保存することが可能だ。
ここでは、MP3形式で取り込みがおこなえるようにする設定の手順をみてみよう。なお、Windows Media Player10以降は標準でMP3のエンコーダが備わっているが、 Windows Media Player9以前のバージョンを利用している場合は別途プラグインでMP3 エンコーダをインストールする必要がある。
Windows Media Playerを起動し、タスクバーの何もない場所で右クリックし、[ツール-オプション]を選択する(画面1)。[オプション]ダイアログボックスが開いたら、[音楽の取り込み]タブをクリックする(画面2)。
画面1[ツール-オプション]を選択する | 画面2[音楽の取り込み]タブをクリック |
取り込み設定の項目の形式で[▼]をクリックし、「mp3」を選択する(画面3)。
画面3[▼]をクリックし、「mp3」を選択 |
音質を調整したい場合は、音質の項目のスライダをドラッグして調整する(画面4)。[OK]をクリックする。これで次回の取り込みからMP3形式のデータ保存が可能になる(画面5)。
画面4 スライダをドラッグして調整する | 画面5 MP3形式のデータ保存が可能になる |
MP3の音質は、128kbps~320 kbpsの設定が可能だが、ポップスなどの一般的な音楽なら128kbpsで十分な音質といってもよい。クラシックなどの音質を重視する音楽の場合でも192 kbps程度で十分といえる。これ以上の設定の音質は一般的に聞いても音質の違いを判断しにくいだろう。なお、音質の設定値が高いほどデータの容量も大きくなる。
また、取り込み後にサウンドデータが保存される場所は、初期設定では[マイミュージック]フォルダに指定されている。保存場所を指定したい場合は、[音楽の取り込み]タブの[取り込んだ音楽を保存する場所]で[変更]をクリックすることで任意の場所を指定することができる。自分の利用環境に応じてカスタマイズしてみよう。
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編集部:篠崎 哲(ジャムハウス)
制作編集:エヌプラス
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安倍の応援団にろくな顔無し
安倍ほどの策略家はいない!
安倍がいなければ、第二の安倍がでると思っておられる向きもあるかもしれないが、
安倍をとにかく下ろさねば!
【ネトウヨ】安倍政権応援団の有名人
この顔がテレビに出て来たら要注意です。安倍政権を擁護する発言を繰り返し、耳障りの良い言い回しや言い逃れで真実を捻じ曲げ、世論や報道操作を工作しようとする…
正に有名人の化けの皮を被ったネトウヨ糞有名人なのです。
今回は、日本国籍・存命・政治家経験無し…という独自の基準で纏めてみました。
(ですから橋下徹や杉村大蔵、フィフィやケントギルバートは明らかにネトウヨですが対象外です…)
皆さんこの有名人達の発言を理解出来ますか❓
許せない方はジャンジャンシェアして下さい‼️
✳︎敬称は敢えて略w
◾️津川雅彦
「安倍晋三氏は政治家には勿体ない程の、人徳と誠実さの持ち主」「安倍総裁ばんざい!」「安倍総理はつくづく純粋な政治家」等と、安倍晋三の大応援団だ。
http://lite-ra.com/i/amp/2015/10/post-1587.html
◾️松本人志
自身の番組に安倍晋三をゲストに招き、お世辞トークを繰り返した、別の放送では共謀罪も「良いんじゃないか」「冤罪も仕方ない」等と発言するネトウヨ脳が半端無い。
http://lite-ra.com/i/2017/05/post-3176-entry.html
◾️田崎史郎
ワイドショー「ひるおび」にレギュラー出演しているこの男は「昭恵夫人は森友問題に利用された」等と発言し、そのあまりに酷い安倍政権擁護に一時期ヤフートレンド入りする等、ネトウヨとしての存在感を日に日に増している。
https://matome.naver.jp/m/odai/2148817280313115401
◾️山口敬之
今話題の準強姦容疑者であり、安倍晋三の大応援お抱えジャーナリスト。
このレイプ事件に安倍晋三スジの癒着・揉み消しが有ったに決まっている。
http://www.cyzo.com/i/2017/06/post_32974_entry.html
◾️百田尚樹
安倍晋三との対談を著書にする等、親密さはピカいちの百田は、「沖縄の新聞2社を潰せ」等を筆頭にクソみたいな言動のネトウヨ具合もピカいちだ。
https://matome.naver.jp/m/odai/2138403790714522501
◾️星野仙一
野球チームの監督としての手腕は見事な星野仙一だが、政界の真実を見抜く手腕は最低の様だ。記事は第一次安倍政権で安倍が辞任した時のコメントだが、その後も安倍応援団を続けている。
http://d.hatena.ne.jp/Wallerstein/touch/20070915/1189817315
◾️武田鉄矢
原発再稼動推進の安倍政権に同調し、「1日6時間、放送をやめるとかっていう覚悟が各局にあるのか?そういうことまでも込みで考えて原発再稼働を認めずというような決心をすべきであって、国は間違ったことやってるぞ、はんたーい!という、そういう単純な話ではもうなくなった」等と発言…思考レベルが完全にネトウヨです。
http://blog.goo.ne.jp/ki…/e/cdb8baeab06d4ba2ce934c7da4b9aee4
◾️えなりかずき
子役として幼児の頃からチヤホヤされていたせいで、全く脳内は大人になっていない様で「韓国は自信過剰になっている」や「韓国の盗人猛々しいのが嫌い」「そもそも韓国が嫌い」等とネトウヨと言うよりヘイトスピーチさながらに韓国を下げずんだ発言をテレビで披露した。
https://newsmatomedia.com/enari-kazuki
◾️小田尚
読売の論説主幹の小田は安倍の寿司仲間であり、度々テレビでも安倍政権擁護の「解説」とは言い難いネトウヨトークを繰り返す、要注意人物の一人。
この記事では、その他にも安倍との会食を重ねている報道各社の輩が載っている。
http://www.jcp.or.jp/…/aik16/2017-01-04/2017010401_03_1.html
◾️櫻井よしこ
極右『日本会議』の中でも神と称され、自身も神社に住んでいるという、糞ババァ。
兎に角自主憲法の制定に躍起の櫻井は、安倍晋三を煽てまくる。国際外交にしても、原発再稼動にしても、景気対策にしても…しかし、共謀罪には慎重派だとか…意味不明で良い加減にしろ!
http://blog.goo.ne.jp/ki…/e/ca71934971f6fb50e4d75a0d7fdc1067
◾️SEAMO
この人は安倍晋三がどうこうでは無く、ただの自民党支持者だろう。
麻生政権の際に麻生太郎の名言をラップにして応援歌を歌っていた。
http://blog.livedoor.jp/maemuki_news/archives/747153.html
◾️北村晴男
行列で有名な北村弁護士は、弁護士失格のツイートを投稿。
『「憲法9条があったから、そのおかげで70年間日本は平和であった。」と考える人は、戦前・戦中に「日本には神風が吹くから米国に絶対に負けない」とか、「日本人には大和魂があり、腑抜けの米兵を圧倒する。たとえ物理的な国力において大差があっても」と考えた人達と同程度に愚かである』…だと。
https://mobile.twitter.com/kitamurahar…/…/636911281207816193
◾️小籔千豊
まくし立て、相手の意見に耳を傾け無い論法で人気になった小籔だが、その根底にあったのは、ネトウヨ根性だった様だ。
教育勅語を『何が悪い?』等と肯定した。
http://lite-ra.com/i/amp/2017/03/post-2990.html
◾️伊東四朗
吉田照美のラジオに出演した際、「憲法を改正して欲しいね。特に憲法の前文、平和を愛する諸国民がなんとかというとこ。平和を愛する諸国民なんていないじゃん」「今、平和なの? すべての武器が嫌いなんていってたら、武器にやられちゃう」等と発言。
呆れたネトウヨ老害芸能人と断定する。
http://gamp.ameblo.jp/moody-night/entry-11406820105.html
◾️テリー伊藤
森友問題で驚愕の安倍擁護を見せてくれている。「籠池理事長家族はモンスターペアレントなんだから、そんなのと同じ証人喚問なんかしたらダメ」と、ネトウヨそのものの論点ずらし…二度と観たくないテレビマンだ。
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/109.html
◾️椎名林檎
糞みたいな演出の安倍マリオの発案者である椎名は、自民党の「文化伝統調査会」という日本会議的分科会に出席する程に安倍政権と蜜月だ。彼女のライブ演出は異常なまでに右翼的なもので、鳥肌実等と同類である。
http://lite-ra.com/i/amp/2016/12/post-2736.html
◾️堀江貴文
立候補はしたものの当選して無いので、載せたが、説明の必要が無い程の安倍応援団。
敢えて載せたのは、安保法制を大賛成しデモをする者をディスり続けた張本人であるからで、これらは絶対に許せない発言だった。
http://weblog.horiemon.com/100blog/31497/
◾️三浦瑠麗
時にリベラル論客と歩調を合わせるフリを多様するネトウヨ学者。最終的には毎回安倍晋三を擁護する形で纏める事の天才。
特に『朝ナマ』では自民党の援護射撃に尽力している。
http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/30313
◾️宮根誠司
アナウンサーの中でも安倍政権に最も尻尾を振って擦り寄ってるのがこの宮根だろう。
その為、安倍晋三もしょっちゅう宮根の番組に出て来る。それを宮根自らの力の様に自慢気だからタチが悪い。安倍晋三の食事の誘いにも『是非‼️』と即答する異常ぶり。
https://www.j-cast.com/2015/09/05244516.html?p=all
◾️秋元康
椎名林檎の様にアーティストが、右翼的な思想によって自らの楽曲やパフォーマンスでそれを表現するのはある意味で自由だから仕方無いとしても、このAKBと安倍晋三の癒着ぶりは許す訳にはいかない。結果、AKBのメンバーが政治利用されているでは無いか!
https://matome.naver.jp/m/odai/2143642600720871401
◾️久本雅美
正しくは、久本率いる『創価学会員芸能部』のメンバー全員である。おもむろに安倍晋三応援はしないが、熱狂的に公明党を支持する訳ですから安倍政権擁護になっている。
久本については、芸能界に数々の闇を拡げ続けているから恐ろしい限りだ。
因みに2007年に『カサカサしている人』堂々の第1位に久本が、2位がなんと安倍晋三だからウケる‼️
https://s.rbbtoday.com/article/2007/08/27/44413.html
この他にも絶対に許す訳にはいかない輩はいるものの、知名度がある程度のヤツはこんなもんでしょう。
因みに
『安倍政権批判の著名人』2017最新まとめ
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=291878881236342&id=100012426974917
『安倍政権批判のミュージシャン』2017最新まとめ
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=291840141240216&id=100012426974917
等もまとまっておりますので、ご一読頂き気に入って頂いた場合はシェアしてくれたら嬉しいです‼️w
LITERA より転載・・・加計学園「総理の意向」文書は本物と田崎!官邸の作戦変更か?
「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」──学校法人加計学園の国家戦略特区による獣医学部新設について、特区を担当する内閣府が文科省に対し早期開学を要求し、「総理の意向」として圧力をかけていた経緯が文書に記録されていることが昨日、発覚した。これは安倍首相が「腹心の友」へ便宜を図っていたことを示す重大証拠だが、一方、安倍官邸は卑しさを剥き出しにして「フェイクニュースだ!」と攻撃を展開した。
菅義偉官房長官は昨日午前の記者会見で「そのような事実はない」と断言、「作成日時だとか作成部局だとか、そんなものが明確になってないんじゃないか。通常、役所の文書ってそういう文書じゃないと思いますよ」と言い、午後の会見でも「まったく怪文書みたいな文書」と言い切った。
そして、ご多分に漏れず、この菅官房長官の発言をもとにネット右翼たちは「朝日のフェイクニュース」「ひどいデマだな」「テロ等準備罪の成立を阻止したいからなんでもやるんでしょう。ご苦労様です」「偽メール問題の再来」と意見を書き込み拡散させたのだ。
まったく毎度の安倍政権およびネット実働部隊のネトサポのやり方には反吐が出るが、じつは菅官房長官もオフレコの場では「あんなものは捏造文書だ」とまで発言していたという。
しかし、事実を捏造して「フェイクニュース」を撒き散らしたのは、無論、安倍官邸のほうだった。
菅官房長官は「捏造文書」だと攻撃!しかし、作成日時も実名も明らかに…
実際、朝日新聞はこうした攻撃に対抗するように、今朝の一面トップで続報を掲載。「官邸の最高レベルが言っていること」だとして早期開校を要求していた文書には、じつはタイトルに「○○内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」(○○の部分は実名)と名前がしっかり記され、「平成28(2016)年9月26日(月)18:30~18:55」という具体的な日時や、〈「対応者」として内閣府の審議官と参事官、文科省の課長と課長補佐の計4人の実名〉も書かれていると報道したのだ。
さらに、昨晩放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)でも、文書内に登場する日本獣医師会顧問で農林水産副大臣も務めた元衆院議員・北村直人氏が、「てにをはの違いはあるかもしれないが、自分のことが書いてある部分はおおむね紙(文書)の通りだ」と証言。当事者が「発言内容は正しい」と認めている。
本サイトでも、今回の文書の真偽について各方面で取材を行ったが、実際に作成された「本物」であることは確かなようだ。それを安倍官邸は「捏造」呼ばわりし、「出所不明」「怪文書」などと会見で言い切ることで事実を「フェイクニュース」に仕立て上げたのである。
国民を欺くのもいい加減にしろと言いたいが、じつは、安倍官邸も昨夜になってこの「フェイクニュースとレッテル貼り」戦法では、もはや逃げ切ることはできないと踏んだらしく、方向転換を図っている。
実は、今朝の『とくダネ!』(フジテレビ)では“官邸のスポークスマン”である御用記者・田崎史郎氏が「文書は本物」と明言し、ただし「「総理の意向」は加計学園だけでなく全体のことを指している」「問題があって処分された役人が逆恨みで流出させた」などと苦し紛れの弁明を展開していた。
方向転換を迫られた安倍官邸は「文書は恨みによって流された」と出所を攻撃開始
実はこの田崎の発言は、朝日の続報が出るのを知った官邸の姑息な作戦変更を反映したものらしい。
「昨日夕方くらいまでは『捏造文書』と言い切っていた安倍官邸ですが、どんどん新しい証拠が出てくるので、本物と認めざるをえなくなった。そこで、今度は『文書の出所は天下り問題で“依願退職”した元文科省事務次官の前川喜平氏だ』と言いふらし始めたんです。つまり、天下り問題でクビを切られた前川氏が政権への“恨み”を晴らすためにばらまいたシロモノだ、と主張しているんです」(大手新聞社記者)
しかし、この「官邸情報」は、逆に今回の文書の信憑性を高めるものだ。前川氏は、この文書が作成された昨年9月〜10月は事務次官という文科省において官僚トップの座に就いていた人物。事務次官がこの文書を持っていたとすれば、それこそ文書の信頼度は増すというものだ。
今後、安倍官邸は、田崎氏がすでに流布しはじめたように「『総理のご意向』というのは国家戦略特区の取り組み全体を指している。批判はまったく当たらない」などと話をすり替える予定なのかもしれないが、この文書は「加計学園」についてだけ論じられていることを忘れてはいけない。そもそも、獣医学部新設は京都産業大学も提案していたにもかかわらず「1校限り」に絞られ、加計学園傘下の岡山理科大学だけが認められるなど、“特別扱い”を受けていたことはあきらかなのだ。
ついに本格的に動き出した加計学園問題。さらなる真相究明が行われるとともに、安倍官邸の下劣な情報操作も問題も徹底追及しなくてはならないだろう。
(編集部)
加計学園 "総理のご意向"文書「流出」の舞台裏 //東洋経済ONLINEより転載
加計学園
"総理のご意向"文書「流出」の舞台裏
背後に見え隠れする「麻生vs菅」の構図
安倍晋三首相の長年の友人で、「腹心の友」と呼ぶ加計(かけ)孝太郎氏が理事長を務める学校法人加計学園(岡山市)。その加計学園が国家戦略特区制度を利用して愛媛県今治市に設置を予定している岡山理科大学獣医学部を巡っては、これまでも様々な“疑惑”が囁かれてきた。
ひとつは今治市いこいの丘にある16.8ヘクタールもの土地(約36億円相当)を加計学園に無償譲渡する件。これに加えて今治市議会は今年3月3日、校舎建設費用192億円のうち64億円を上限として負担することも決議。愛媛県が負担する分を合わせて、その上限は96億円にも上る。
もっとも地方自治体がまちおこしのために、学校や企業を誘致することはままあることだ。その結果、目論んだ税収増や経済効果がさほどではなかった例も多いのだが、とらぬ狸の皮算用をする地方自治体は多い。
「官邸の最高レベルが言っていること」
ところが加計学園の場合、さらに重大な"疑惑"が浮上した。
内閣府が大学設置権限を持つ文部科学省に対して「平成30年(2018年)4月開学を大前提」に早期の開学を求め、これを「官邸の最高レベルが言っていること」と圧力をかけていた可能性があるのだ。朝日新聞は5月17日の朝刊で、「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」「内閣府、早期対応を求める」との見出しでこれを報じている。
問題の文書は計8枚で、まずは「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題されたものだ。
これは松野博一文科大臣から内閣府に対し、「①平成30年4月開学は必要な準備が整わないので、平成31年4月開学を目指すべきではないか、②麻生(太郎)副総理や森英介(衆院)議員などの反対派がいる中で党内手続きをこなすためには、文科・農水・内閣の合同部会ないしはPTを設置すべきではないか」などと問い合わせたことへの回答文だ。
内閣府の回答文は、①早期開学は「総理のご意向」、②「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので総理からの指示に見えるのではないか、③以前に官邸から「内閣」としてやろうとしていることを党の部会で議論するなと怒られたので、内閣府は質疑対応はするが、党内手続きについては文科省が政調(党政務調査会)と相談してやってほしいなどと回答。官邸が独断で推し進めようとしたことを記している。
「学校ありきでやっているという誤解を招く」
「10/4義家副大臣レク概要」と題された文書には、農林水産省が管轄すべき獣医学部定員の基礎となる獣医師の受給バランスについて斎藤健農水副大臣が「何も聞いていない。やばいんじゃないか」と反応し、農水省が門外漢であったことを示唆。また「10/7萩生田副長官ご発言概要」(※この文書のみ、「取扱注意」になっている)で、「平成30年4月は早い。無理だと思う」「学校ありきでやっているという誤解を招くので、無理をしない方がいい」と、安倍首相に最も近いひとりとされる萩生田光一官房副長官ですら消極的な見解を述べている点が興味深い。
また松野文科相も萩生田副長官も、定員増員に強く反対する麻生副総理に配慮して、2016年10月23日の衆議院福岡6区補欠選挙の後で加計問題を処理すべきだと主張した点に注目したい。鳩山邦夫衆議院議員の急逝により行われた同補選では、邦夫氏の次男の二郎氏と林芳正元農水相の秘書の蔵内謙氏が立候補し、自民党系がまっぷたつに割れた。
鳩山二郎氏を応援したのは、邦夫氏と交流があり「きさらぎ会」の顧問を務める菅義偉官房長官。これに二階派の武田良太衆院議員に加え、小池百合子東京都知事も応援に駆け付けた。
一方で麻生氏が応援したのは県議を8期務める蔵内勇夫県連会長の長男の謙氏で、その力の入れようは尋常ではなかった。麻生副総理は選対の本部長に就任するのみならず、長年の宿敵であった古賀誠元自民党幹事長を顧問に迎えている。
それ以上に重要なことは、蔵内勇夫氏が日本獣医師会の会長である点。要するにこの時の闘いの構図は「麻生vs.菅」で、その背後には獣医利権もあったと読み取ることができる。
このように「麻生vs.菅」という官邸内の争いがそのまま反映された衆院福岡6区補選だったが、父親の弔い合戦に加えてブリヂストンを創業した石橋家の威光も背負っている二郎氏が10万6531票を獲得して大勝。蔵内氏は2万2253票と惨敗した。
補選の後、勇夫氏が「4人組(安倍晋三首相、菅義偉官房長官、山本有二農水相、松野博一文科相)にやられた」と嘆いていたのを、福岡県関係者は目撃している。
そしてこの時のしこりは、後に森友学園問題が発覚した時に噴出したといっていいだろう。籠池泰典前理事長が口利きを求めた面談記録が3月1日の参議院予算委員会で共産党の小池晃書記局長によって明らかにされたが、そもそも籠池氏から陳情を受け、その記録を作成したのが麻生派の重鎮である鴻池祥肇元防災担当大臣の事務所だった。
当初、小池氏は鴻池氏の名前は明かさなかったが、1日の夜に鴻池氏が記者会見すると、翌2日午前の参院予算委員会で同事務所が鴻池事務所であることを明言。いわば小池氏は鴻池氏に「仁義を切った」ことになる。
菅長官は「そのような事実はない」と否定
このような文脈ともピタリと符合する「総理の意向」文書だが、菅長官は5月17日の官房長官会見で、「そのような事実はない」と全面的に否定。「あの文書がどういう文書で、作成部局だとか明確になっていない」「通常、役所の文書はそういのはないと思う」と述べた。また文書は個人のメモではないかという質問に対しては、「そういう文書にいちいち政府が答える問題ではない」と不快感をあらわにした。
しかし朝日新聞は「加計学園による獣医学部計画の経緯を知る文科省関係者は取材に対し、いずれも2016年9月~10月に文科省が作ったことを認めた」としている。
本当のところはどうなのか。ある野党関係者は期待を込めてこう言った。「森友学園問題の時も『証拠がない』といっていたが、財務省のテープが出てきた。今回も証拠が次々に出てくるのではないか」。
それでも安倍内閣は高支持率を維持し、その地位は揺るぐことはないだろう。一強政治が続く中では、闇は深まる一方だ。
パーキンソン病を疑うべき五つの症状
パーキンソン病を疑うべき五つの症状
工藤千秋 / くどうちあき脳神経外科クリニック院長パーキンソン病という病気の名前を聞いたことがある人は少なくないと思います。神経に異常が生じることで手足にふるえが生じる、歩行や体の姿勢を変えることが難しくなる、などの症状が表れ、日常生活に支障をきたす病気です。時間の経過とともに徐々に進行していく病気のため、初期症状を早期に発見し、適切な治療を行うことで進行を遅らせることが重要です。今回はパーキンソン病の初期症状にいかにして早く気づくか、私個人のこれまでの診療経験も踏まえ、お伝えしたいと思います。
高齢者では100人に1人がパーキンソン病を発症
現在パーキンソン病の患者は1000人当たり1~1.5人と言われ、国内では2014年時点で16万人余りの患者がいると推計されています。おおむね40~50歳以降に発症し、若い人でこの病気になる人はまれです。70歳以上の高齢者での有病率は約1%で、高齢者では決して珍しい病気ではなく、今後の高齢化の進展で患者さんが増えることが懸念されています。
パーキンソン病では脳の中脳の一部である「黒質」が変性を起こすことで、黒質で作られる神経伝達物質のドーパミンが減少します。神経伝達物質は脳からの指令が電気信号として神経細胞を伝わっていく際に、神経細胞と神経細胞の隙間(すきま)で電気信号の内容を伝える物質です。そのうち、ドーパミンは、運動調節、認知機能、ホルモン調節、感情・意欲・学習などにかかわると言われています。ドーパミンの量が減少すると、さまざまな影響が表れますが、運動の調節が難しくなると、結果として最初にお話ししたような特徴的な運動障害が発生します。治療法が確立していない時代は、そのまま寝たきりになってしまうことすらありました。
黒質が変性を起こす原因はまだ不明なため、完全な治癒は望めません。現時点では減少したドーパミンを薬で補うことなどで進行を遅らせることが治療の中心となります。もっとも最近では治療薬の種類も増加し、適切な治療を行えば寝たきりのような状態になることは極めてまれです。
これまでの研究では、ドーパミン量が正常時の20%以下に減少すると症状が表れるとされています。この時期に表れる初期症状にいち早く気づき、治療をより早く始めるほど、それ以降の病状の進展を遅らせることができると言われています。
非典型的な初期症状にも注意を
典型的な初期症状としては、じっとしている時に片側の手足がふるえる(安静時振戦)▽歩き出すときの最初の1歩がうまく踏み出せない▽歩行中の歩幅が小さくなる▽小声になる▽体に柔軟性がなくなる--などが挙げられます。しかし、これはあくまでも教科書的な症状で、実際に診療をしていると、こうした典型的症状がなくとも、精密検査を行うとドーパミンの量が著しく減少していることが分かって、パーキンソン病と診断するに至った症例は少なくありません。
上記のような典型的症状以外で、パーキンソン病を疑うべき症状にはどのようなものがあるのでしょうか。これはあくまでこれまでの私の診療経験上という前提なのですが、
(1)体中がふるえているように感じる
(2)レム睡眠障害
(3)起立性低血圧
(4)便秘
(5)嗅覚の低下
などの症状を訴えた高齢者では、後にパーキンソン病と診断される患者さんが一定割合おられます。
「体中がふるえているように感じる」というのは、「患者さん自身がそのように感じる」ということです。そのように言いながら、自分自身で手を観察しても、医師の目から客観的に観察しても、ふるえがあるとは思えない状態がほとんどです。
「レム睡眠障害」とは、それまで睡眠に問題がなく、大きなストレスもないにもかかわらず、突然悪夢を見るようになる▽睡眠中に大声で暴言のような寝言を言う▽まるでけんかでもしているかのように手足をバタバタさせ、時にはそばで寝ている家族をたたいたり蹴とばしたりする症状です。「起立性低血圧」は立ち上がった時にめまいやふらつきが起こり、時には失神に至るようなことすら起こりえます。
レム睡眠障害と起立性低血圧は従来、パーキンソン病を発症した患者さんが、病気の進行過程で合併しやすい症状と言われていましたが、それとは逆にパーキンソン病の発症に先行する形で出現することもあるのではないかと、私は疑っています。
便秘は高齢者では起きやすい症状ですが、日常生活での繊維質や水分摂取、運動習慣などでは問題が見られないのに、突然便秘になったケースなどは要注意です。
これら五つの症状のどれかが該当する場合はパーキンソン病の疑いを考えて良いと思いますし、二つ以上など複数の症状が該当する場合はなおのことパーキンソン病を疑って、神経内科などの専門医を受診することをお勧めします。
約4割の患者が認知症を合併
また、パーキンソン病では病気の進行とともに認知症を合併することが多いのも特徴です。米国の西ロサンゼルスVAメディカルセンターの研究者が、パーキンソン病と認知症との関係を追究した27の研究をまとめた結果では、パーキンソン病患者さんの約4割が認知症を合併していることも分かっています。認知症を合併すると日常生活に著しく支障をきたすことは明らかですから、この点からもパーキンソン病の初期症状に気づき、早期に治療を行うことは極めて重要といえるでしょう。【聞き手=ジャーナリスト・村上和巳】
工藤千秋
くどうちあき脳神経外科クリニック院長
くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)など。