茅ちゃん日記

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日刊ゲンダイより 壮大なペテン師アベ 「共謀罪はテロ対策」だって?

壮大なペテン 「共謀罪はテロ対策」という真っ赤なウソ

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 大新聞が17日の朝刊で一斉に、〈「共謀罪」対象半減へ〉と報じていた。対象となる犯罪を、原案の676から300前後まで減らすことを政府が検討しているという内容で、「懲役・禁錮4年以上の重大な犯罪」の種類が多過ぎることに与党の公明党が懸念を示しているため配慮した、という解説も全紙一緒だ。犯罪数を減らすことで批判を和らげようという政府サイドのリークなのだろうが、そもそもなぜ、相談しただけで罰せられるような法律が必要なのかの政府の立場は、相変わらず欺瞞だらけだ。

 政府が大新聞を通じて説明する「共謀罪」の必要性はこうだ。国際的な組織犯罪に対応するため、国連が2000年に採択した「国際組織犯罪防止条約」を締結するには、国内法を整備しなければならない。20年の東京五輪を念頭に「共謀罪」を整備して、テロ対策で各国と連携を強化する必要がある─―というものだ。そのために罪名も「テロ等組織犯罪準備罪」に変える。

 

しかし、この「国際条約で必要」というのはウソ八百のデタラメだ。法律の専門家の多くが現行法で対応できると主張している。実際、政府は過去に国会で「条約を批准した国で新たに法整備をした国はどこか」と質問されて、「例えばノルウェー」としか答えられなかった。ほとんどの国が現行法で対応しているのである。情報法制に詳しい中川亮弁護士がこう言う。

「政府は条約締結のために『共謀罪』の立法化が必要としていますが、この条約は『国連越境組織犯罪防止条約』という名称で、国をまたぐ国際性のある犯罪を対象にしているというのが日弁連の立場です。どうしても立法化するというのであれば、国際犯罪に限った条件を付けるべきで、実際、(カリブ海の小国)セントクリストファー・ネビスは、越境性を要件とした法律を制定しています。加えて日本は、国際人権条約のように国内制度と違う条約でも批准している。つまり、国内法整備は条約批准の条件でも何でもないのです。

 

  政府の説明には論理の一貫性がなく、結局、条約に“悪乗り”して、都合のいい法律を作ろうとしているというのが実態ではないでしょうか」

 公明党が“難色”というのも、毎度のパターンだ。

 安保法制もカジノ法もそうだった。「我々がいるから自民党にブレーキをかけられた」と釈明するための創価学会員向けのポーズである。法案が正式に国会に提案される際には、「公明党の指摘を受け、犯罪数を減らした」とアピールするシナリオだろう。“下駄の雪”が本気で反旗を翻すはずがない。

■監視社会で市民は沈黙、民主主義は崩壊

「テロ対策」というのも悪質なウソだ。名称を「共謀罪」から「テロ等組織犯罪準備罪」に変えても、その中身は03、04、05年と3度も国会で廃案になった法案とほとんど変わらない。

 

 

  原案には窃盗や道交法違反も含まれている。さすがに今後、除外されそうだが、ナント、事前に“共謀”できない業務上過失致死や傷害致死まで入っている。これらがテロとどう関係するのか。メチャクチャである。

 テロ対策も東京五輪も全て、国民を騙しやすい後付けの屁理屈。すり替えであり詭弁だ。壮大なペテン劇を繰り広げてまで政府が共謀罪にこだわるのは、間違いなく別の理由があるからだ。

 民主党政権時代に法相だった平岡秀夫衆院議員は、誰が何のために「共謀罪」に固執しているのかという問いに、「監視社会をつくりたい自民党と、捜査の武器を拡大させたい警察官僚だ」と東京新聞で断言していた。

 監視強化で市民を管理し、国家の統制下に置く。共謀罪は、既に成立済みの秘密保護法や改正盗聴法とセットで機能させる。市民は監視を恐れ、沈黙し、政府に従順になる。民主主義は崩壊。現代の治安維持法と呼ばれるゆえんである。前出の中川亮弁護士もこう言う。

 

 

  「共謀罪によって、『内心の意思』が罰せられることになります。具体的な行動がないわけですから、会話やメールの段階で情報収集が行われる。捜査機関が恣意的に検挙する恐れがあるのはもちろんのこと、日常的に個人のプライバシーに立ち入って監視するような捜査が行われる可能性があります。何度も廃案になったのに、政府が共謀罪の法制化に固執するのは、『早い段階で市民の内心をコントロールしたい』というのが真の目的なのだろうと思います」

 犯罪対象を300に絞り込んだところで、国家による市民の監視を無制限に容認する人権侵害の本質は変わらないのである。

 

目指すは、戦前型の富国強兵国家の復活

 テロや五輪にかこつけて、共謀罪の法制化を急ぐ安倍政権のドス黒い思惑は、この4年間のヤリ口を思い出せば分かるはずだ。法政大教授の山口二郎氏が東京新聞のコラムで、「かこつけ総理」と次のように喝破していた。

南スーダンに派遣された自衛隊の新任務は海外での自衛隊武力行使を可能にするための、積極的平和主義に名を借りた駆けつけならぬ「かこつけ警護」だと思った。この「かこつけ」は、安倍政治の本質を表す言葉となった〉

〈成長戦略にかこつけて年金基金を株式市場に投入して損を出し、地域活性化にかこつけてカジノ、とばくを合法化した。働き方改革にかこつけて、残業代を払わないことを正当化する労働基準法改悪を実現しようとする。極め付きは共謀罪である〉

 ペテンを駆使して、自らを正義とするのが安倍首相の常套手段。それでも能天気な国民は、67%という驚異の高支持率を与えるのだから、笑いが止まらないだろう。

 

 安倍の正体は、口先の「平和」とは正反対。フィリピンの現地メディアが伝えたように、中国包囲網しか頭にない“武器商人”のような人物である。ドゥテルテ大統領との会談で、安倍が「ミサイル供与を申し出た」と報じられた。菅官房長官が否定し、真偽は不明だが、長年の「武器輸出三原則」を大転換した首相である。対中国でフィリピンを取り込むためなら、1兆円の大盤振る舞いとセットで武器供与を持ちかけても不思議じゃない。

 政治学者の五十嵐仁氏はこう言った。

平和憲法の理念に従えば、日本の首相は『非軍事』を世界に広め、紛争を諭さなければなりません。ところが安倍首相は、逆のことをやっている。『共謀罪』の法制化で安倍首相が目指しているのは、『昔の日本を取り戻す』ということなのでしょう。対外的には強国として世界情勢に影響力を及ぼし、国内ではマスコミを押さえつけ、反政府の運動を取り締まる。憲法を変えて普通の国になり、自衛隊を海外に派遣して大国となる。戦前型の富国強兵国家を復活させたいのでしょう」

 菅は共謀罪について、「一般人が対象になることはあり得ない」と言ったが、戦前の治安維持法も当時の警視庁当局が「世間の人が心配するほどのものではない」と説明していたという。権力者が国民を騙し何をするのか。歴史が教えてくれている。