茅ちゃん日記

世の中のこと、思うことをつづります

アベ友と極右教科書をめぐる利権の構造/litera

アベ友と極右教科書をめぐる利権の構造(前編)

安倍首相のブレーン・八木秀次率いる極右教育団体に1200万もの公費が横流し!教科書採択運動の裏にアベ友利権

2018.07.17
安倍首相のブレーン・八木秀次率いる極右教育団体に1200万もの公費が横流し!教科書採択運動の裏にアベ友利権の画像1
日本教育再生機構フェイスブックに掲載された「教育再生実行会議 提言フォローアップ会合」の様子

  安倍政権が推し進めている極右教育をめぐり、沖縄タイムスが15日付1面で報じたスクープが話題になっている。安倍首相の“極右教育政策のブレーン”が率いる民間団体に、各自治体から少なくとも1220万円もの公費が投じられていたことをすっぱ抜いたのだ。

 この首相の“極右教育政策のブレーン”とは、八木秀次麗澤大学教授だ。周知の通り、八木氏といえば日本会議とも近い“極右御用学者”で、「日本教育再生機構」(以下、再生機構)という歴史修正教科書の制作・採択運動などを行う極右団体の理事長を務めている。

 沖縄タイムスのスクープは、その八木氏率いる再生機構に、保守系自治体首長ら131名でつくる「教育再生首長会議」(以下、首長会議)を通じ、事務局委託金の名目で、2017年度までに計約1220万円が支払われていたというもの。また、同紙が首長会議に加盟する九州地域の自治体に情報公開請求などで照会したところ、いずれも公費から年会費などが支出されていたという。

 前述の通り、八木氏の再生機構は「新しい歴史教科書をつくる会」から分派した団体であり、歴史修正主義が顕著な育鵬社の歴史教科書などを支援してきた。つまり、これは極右教育を推進する“アベ友”の団体に市民の血税が人知れず流されていたということであり、言うまでもなくそれは、教科書採択に大きな影響力をもつ自治体首長とズブズブの関係にあるという事実を意味している。

 もともと、首長会議は2014年6月の結成翌年から毎年、安倍首相を表敬訪問するなど、安倍政権の極右教育政策を支持・支援する団体だ。結成時の会長は安倍首相の地元である山口県の松浦正人・防府市市長で、現在は後任の野田義和東大阪市市長が務めている。私立学校や国立学校などの一部をのぞき、公立学校の教科書を採択するのは各自治体の教育委員会だが、教育委員の任命権は首長にある。防府市東大阪市は、2015年の中学校の教科書採択で育鵬社教科書を選んでいる。

 教科書問題と右派運動に詳しい俵義文氏(「子ども教科書全国ネット21」事務局長)によれば、首長会議は再生機構や同じくつくる会から派生した「教科書改善の会」が全面的に関わってつくった組織であり、事実、最初の相談会から八木氏が参加、第一回準備会でも講演を行っている(「週刊金曜日」2015年1月23日号)。

 沖縄タイムスによれば、再生機構へ支払われた事務局委託金の額は首長会議の年間収入の約7割にあたり、再生機構スタッフの人件費などに充てられていたという。

 ようするに、今回、沖縄タイムスがスクープした首長会議への公金支出および再生機構への横流しは、安倍首相を中心とした一連の極右教育推進運動に人々の血税が勝手に投入されているという問題のみならず、明らかな癒着の構造がある。ここには、安倍首相のお友達に異例の国有地値引きや規制緩和が行われた森友・加計学園と同様の問題が横たわっているのだ。

 しかも、首長会議と八木氏の再生機構をめぐっては、もうひとつ、とんでもない疑惑が浮上している。

 それは、2019年度から始まる中学校での道徳の教科化に関連し、八木氏らが首長会議に対して、自分たちがつくった教科書を売り込んでいたというものだ。

 

アベ友と極右教科書をめぐる利権の構造(後編)

アベ友・八木秀次とヘイト・晋遊舎の道徳教科書が自治体に事前売り込み! 教科書に安倍首相の演説が丸々1ページも

2018.07.19

中学2年生用道徳教科書に安倍首相の演説がまるまる1ページ解説なしで

 

 検定申請中にもかかわらず、採択に大きな影響力を持つ首長に対して営業をかけ、ましてや採択権限者らに〈直接ご説明の機会をおつくり頂きたく〉とお願いする。そこに「健全かつ適切な関係」が保たれているはずがないが、しかも、日本教科書社の実質的母体である日本教育再生機構は首長会議から自治体の公金を流してもらいながら、その事務局を委託されていたのである。裏を返せば、事務局的役割を担うことの“対価”として、八木氏の教科書の採択に協力を迫っているという見方もされうるだろう。

 少なくとも、再生機構(日本教科書社)と首長会議の癒着構造は明らかであり、八木氏らはその癒着関係を教科書採択に利用しようとしていたと考えるのが自然ではないか。

 

 逆に言えば、八木氏らはなぜ、これほどまでに露骨な営業を敢行することができたのか。それはやはり、安倍首相の存在抜きには考えられないだろう。

 そもそも、本サイトでは以前から指摘してきたことだが、八木氏が検定の結果が出る前の段階で日本教科書社の代表から降りた(裏では「顧問」として首長会議への営業を続けたのだが)のは、2017年4月24日〜27日の申請期間までは誰もが安倍首相のブレーンだということを知っている八木氏の存在を前面に出すことで官僚に忖度させようとし、他方、検定に合格したあとは八木氏の名前を隠しておくことで「お手盛り」との批判を避ける狙いがあった可能性がある。

 さらに、日本教科書社の道徳教科書には、他社には見られない特徴がある。もとより道徳の教科化は安倍首相とその周辺が企図する愛国教育の発露であり、その内容の酷さは別の機会に論じたいと思うが、実に日本教科書社の教科書は、合格した全8社のなかで唯一、“安倍首相の演説”を教材に用いているのだ。

 日本教科書社の道徳教科書は2年生版で「和解の力」と題し、まるまる1ページをつかって、安倍首相が2016年12月27日に真珠湾で行った演説を抜粋引用。解説のサブテキストは一切ついておらず、端的に言って安倍晋三の宣伝以外のなにものでもないだろう。まるで、森友学園が経営する幼稚園で、園児たちに「安倍首相ガンバレ!」とエールを送らせていたことを思い出させるではないか。

 首相のブレーン・八木秀次氏の教育再生機構および日本教科書社と教育再生首長会議の癒着、そして、この爛れた極右愛国教育利権の中心に鎮座する安倍首相。この問題が看過されるようならば、もはや民主主義国家ではない。全メディアが徹底して究明すべきはもちろん、国会でも強く追及されるべきだ。(編集部)