茅ちゃん日記

世の中のこと、思うことをつづります

すべての小学生・中学生に「通称 不登校対策法案」はいらない

 

 

資料/官邸より

全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ
   (第九次提言参考資料)               

                           

 

 

(2)不登校等の子供たちへの教育

 

不登校児童生徒等を対象とする特別の教育課程の編成>


不登校の子供たちを対象とした特別の教育課程を編成・実施することを平成16年より可能としており、平成28年2月現在で、10校が指定を受けている。

 

不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する必要があ
ると認められる場合、特定の学校において教育課程の基準によらずに特別の教育課程を編成することができる。

※特区「不登校児童生徒等を対象とした学校設置に係る教育課程弾力化事業」を閣議決定(平成16年12月10日)に基づき、平成17年7月6日付けで全国化したもの。

 

具体的な仕組の概要

【要件】

①学校生活への適応が困難であるため相当の期間小学校、中学校、高等学校を欠席していると認められる児童生徒、高等学校を退学し、その後高等学校に入学していないと認められる者又は高等学校の入学資格を有するが、高等学校に入学していないと認められる者を対象として、その実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する必要がある場合。
※学校教育法施行規則第56条(小学校)、第79条(中学校)、第86条(高等学
校)、第108条(中等教育学校

②特別の教育課程を編成することを希望する学校を設置する地方自治体の教育委員会国立大学法人、学校法人が文部科学大臣に申請書を提出。

             ↓


文部科学大臣は、申請内容を審査し、学校教育法等の観点から支障がないと認められるときは当該学校を指定。
(参考) 平成28年2月現在、指定を受けている学校は全国で

    10校(公:4校、私:6校)

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すべての小学生・中学生に「通称 不登校対策法案」

はいりません-「教育機会確保」より子どもの命が大事-
2016 年6 月11 日
  

     不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク代表 下村小夜子
                 共同代表 子ども相談室「モモの部屋」 内田良子
                           ブログ:http://ftk.blog.jp/

 

 

􀁺 参議院選挙後に開かる予定の臨時国会不登校の小学生・中学生を対象とした「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案(通称 不登校対策法案)」がつくられようとしています。50 年に及ぶ登校拒否・不登校の歴史の中で最大の危機です。

 

􀁺 本法案は、第 190 回国会(2016 年1 月4 日~6 月1 日)で賛成会派(自民、民進、公明、おおさか維新)により国会に提出されましたが衆議院文部科学委員会での審議が行われないまま、次の国会での継続審議になりました。

 

􀁺 この法案は、2015 年9 月15 日の「義務教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法律案(通称 フリースクール法案)」として登場しました。しかし相当の期間、不登校をした子どもの学籍をぬき、保護者が「個別学習計画」を作成して教育委員会に届け出て家庭学習をさせるという内容に各方面からの反対の声があがりました。このため法案から「多様な」という言葉とともにフリースクールに財政支援するために法的な手続きとして必要だった「第四章 個別学習計画」が全て削除され、不登校対策法案に書き換えられました。書き換えられた法案では「第三章 不登校児童生徒に対する教育機会の確保等」というすべての子どもに深刻な影響をもたらす「不登校対策」そのものが姿を現しました。立法趣旨が「フリースクール法案」から「不登校対策法案」へ大幅に転換をしました。

 

􀁺 この法律ができたら追いつめられて命を断つ子どもがもっと増えるだろうと危機感をもつ不登校経験者や保護者たちが多くいます。教職員や学識経験者など各方面からも反対や疑問の声が上がっています。

子どもたちがなぜ不登校をするのか、その原因や学校教育環境の改善ができていない現状で、いじめや体罰、懲罰的指導などの被害者である不登校の子どもに「不登校支援学校」など学校復帰対策を講じるのはあまりにも酷です。

まず優先すべきは被害者の救済です。人間関係と集団の圧力、先生の指導に深い傷を負った子どもたちはとにかく「そっとしておいてほしい」と望んでいます。心身の回復には年単位、数年以上かかる子どももいます。

 

􀁺 多くの子どもたちは、いじめや懲罰的指導、体罰などの被害を受けていても学校を休むことができません。休まず我慢を重ねて学校に通い続け、心身の限界にきたところで命を断っていくのです。この法律をつくっても、学校を休まず命を断っていく子どもたちを救済することはできません。

 

文部省及び文部科学省不登校対策が50 年に及んだ結果、「義務教育の間は学校を休んではいけない」と子どもも保護者も思いこまされています。評価、競争、管理のある学校ではどの子どももいじめる立場・いじめられる立場の両方を経験する可能性があります。

 

􀁺 いじめを受けて深く傷ついている子どもが護身用にナイフやカッターを身につけて登校を続けている現実があります。不登校をすることができずに、いじめられる辛さを回避するためにいじめる側にまわったり、非行へ向かう子どもがいます。

いじめられても我慢して学校通い続け、心身ともに限界にきた子どもが命を断つことが続いています。

不登校は「命の非常口」です。不登校対策を法律化することで非常口をふさぐことはしないでください。

いま必要なのは、全ての子どもたちに「学校を休む権利」があることを明らかにし、そのことによっていかなる不利益を受けないことをきちんと保障することです。

 

􀁺 法案を白紙に戻し、国連「児童の権利条約」で保障されている権利の内容を子どもの学校
生活で具体的に保障する学校教育環境をつくる必要があります。
学校は社会の縮図であり子どもにとって生活の場です。全ての子どもにとって安心した居場所になるインクルーシブな学校が求められます。障害のある子どももない子どもも、学校へ行くのが苦しい子や辛い子にとっても安心して休むことができる学校にしていくなど、子どもの最善の利益が保障される居場所にして下さい。

 

􀁺 子どもに関する法律は本来、生きる希望と将来への夢がもてる社会を保障するためにつくられるものだと思います。今回の法案もそのために立法に着手したと聞いています。立法チームは全国で約4200 人といわれるフリースクールへ通う子どもたちのためにヒアリング調査を重ね、時間をかけて法案をつくってきたと聞いています。しかし、法案からフリースクールに対応する部分は削除されました。フリースクールに通っていない全国12万人余の不登校の子どもたちとその保護者、更には不登校することができず登校しぶりを重ね、保健室登校や教室外の各種の教室などに通う50 万人余りと推測される子どもたちとその保護者は、このような「不登校対策法」を望んでいるわけではありません。

 

􀁺 成立が急がれている夜間中学の支援についての法案を先に通し、性格の異なる不登校対策法案とは分けてください。その上で子どもと家庭を今以上に追い込む不登校対策の法案は白紙に戻してください。これ以上不登校対策法で不登校の子どもを差別しないでください。時間を充分にかけ、不登校の子どもとその保護者、不登校を経験した当事者、学校現場の先生や養護教員など、全国各地の不登校の現場にいる多くの市民に経験や意見、懸念などを聞いて下さい。

国連「児童の権利条約」を骨格にした、全ての子どもたちが生きる希望と将来への夢が持てるような学校教育環境をつくって下さい。

 

 

 

「(多様な)教育機会確保法案」と「不登校」をめぐる動向
● 法案は、当初検討されていたようなフリースクールを公的に位置づける法案ではなく、不登校対策法案に変質しています。
● 特に2016年以降、議員立法の条文案と文部科学省の方針が重複するようになり、従来の不登校対策の反省もないまま、むしろ法制度化によって強化・固定化されようとしています。
● 法案には、市民の願いの本質部分や対案は、反映されていません。

 

2014年
  4月24日   夜間中学等義務教育拡充議員連盟 発足
  6月  3日   超党派フリースクール議員連盟 発足
  7月  3日   教育再生実行会議 第5次提言「今後の学制等の在り方について」

         において、フリースクールなどの学校外の教育機会の公的な位置づ       
         けを検討することが提言される

  9月10日   安倍首相が「東京シューレ」 訪問
 10月27日   下村文部科学大臣(当時)が「フリースペースえん」 視察
 10月~     文部科学省フリースクール等で学ぶ子供への支援・不登校対策」

         省内検討チームを設置、丹羽秀樹、文部科学副大臣(当時)が主査       

         に就任

2015年
  1月27日   文部科学省フリースクール等に関する検討会議」及び「不登校

         関する調査研究協力者会議」設置
  2月18日   超党派フリースクール等議連 法案作成・立法を宣言
  3月  4日   教育再生実行会議 第6次提言「「学び続ける」社会、全員参加型

         社会、地方創生を実現する教育の在り方について」において、

         「再チャレンジ」支援の総合的な推進のため、フリースクールにお

         ける多様な学びを含めた抜本的な不登校対策、スクールカウンセ

         ラーやスクールソーシャルワーカー、地域人材の配置充実が提言さ

         れる

  4月14日   フリースクール等に関する検討会議(第4回)を最後に中断
  5月  7日   教育再生実行会議 第7次提言「これからの時代に求められる資

         質・能力と、それを培う教育、教師のあり方について」において、

         発達障害不登校の子供に対するフリースクールを含む多様な学び

         の機会の支援が提言される
  5月27日   超党派フリースクール等議連・夜間中学等義務教育拡充議連の合同

         総会にて、「多様な教育機会確保法(仮称)案」の試案が採択


         →2015年度通常国会会期中の成立が目指される

  6月~9月   夜中議連との合同立法チームなどで議論が進められる
  7月  8日   教育再生実行会議 第8次提言「教育立国実現のための教育投資・

         教育財源の在り方について」の参考資料において「フリースクール

         等で学ぶ子供への支援・不登校対策」について教育再生実行会議第
         5次提言を受け、学校という枠を超えて新たな教育の在り方につい

         て本格的に検討
   2015年夏頃までに中間まとめ、2015年度内に最終まとめが示される

  7月30日   文部科学省「義務教育終了者が中学校夜間学級への再入学を希望し

         た場合の対応に関する考え方について(通知)」
         

       →形式卒業者の夜間中学受け入れを認める

  8月  5日   文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通

         う民間の団体・施設に関する調査」
       結果公表
       →フリースクール等に在籍する義務教育段階の子どもは約4200人
         (不登校児童生徒約12万人のうち、およそ3.5%)

  9月  2日   合同議連総会にて、「義務教育の段階に相当する普通教育の多様

         な機会の確保に関する法律案(座長試案)」通称「フリースクール

         法案」が提出される
  9月  7日   不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に

         関する中間報告〜一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組

         織的な支援の推進〜」提出
         →「児童生徒理解・教育支援シート」の提案

  9月15日  法案、議連や自民内での合意が取れず、国会上程見送り・継続審

         議に

  9月24日   アベノミクス新「3本の矢」一億総活躍への挑戦で、安部首相がい

         じめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子供たちの環

         境改善とフリースクールの子供たちへの支援、子供たちひとりひと

         りの個性を大切にする教育再生を所信表明
  10月 7日   立法チーム座長(当時)だった馳浩衆議院議員文部科学大臣

         就任
        →「一億総活躍社会」の実現の一環として、不登校支援を明言
  11月    一部報道にて「義務教育の段階に相当する普通教育の機会の確保に関

        する法律案」が自民党内でまとめられ、国会への提出・成立が目指さ

        れていることが報じられる(朝日新聞、読売新聞など)
  11月19日  フリースクール等に関する検討会議(第5回)が約7ヵ月ぶりに再

          開    

  12月21日  中央教育審議会「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策に

         ついて(答申)」
  12月22日   合同議連総会にて丹羽秀樹衆議院議員(前文科副大臣)が新座

         長、下村博文衆議院議員(前文科大臣)が顧問に就任
2016年

   2月  2日 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等

         に関する法律案(仮称)骨子(座長試案)」が提出される
        →「フリースクール支援法案」ではなく、学校復帰を前提、適応指導

         教室・不登校特例校の拡充、学校外の学習活動の管理強化を図る

        「不登校対策法案」に
   2月12日
   2月16日
   3月  8日  立法チーム議員勉強会にて賛成・反対の民間団体や教育委員会

          ど3回のヒアリングが開かれる
   2月12日  4団体に各々5分のヒアリング、2月16日 4団体に各々5分の

          ヒアリング、

   3月 8日  5団体に各々10分のヒアリング
   3月11日   合同議連総会にて「義務教育の段階における普通教育に相当する

          教育の機会の確保等に関する法律案(座長案)」逐条文案完成、

          議連では意見がまとまらず各党持ち帰りに同 日 不登校に関する

         調査研究協力者会議にて「児童生徒理解・教育支援シート(案)」

          と「不登校児童生徒への支援に関する最終報告(案)」が配布さ

         れる「児童生徒理解・教育支援シート」完成

         →2016年度より運用予定
    同 日  文部科学省不登校重大事態に係る調査の方針について(通知)」
        →いじめによる「不登校重大事態」を把握する調査の実施            

 

   4月     文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調

        査」の2015年分より、「不登校」を従来の「30日以上の欠席」

        に加え、「90日以上の欠席」「出席10日以下」「出席0日」と把

        握を細分化する方針

   4月28日  合同議連総会にて「義務教育の段階における普通教育に相当する教

        育の機会の確保等に関する法律案」が自民党民進党公明党、おお

        さか維新の会の了承で連休明けの国会提出が決まる社民党共産党

        夜間中学支援を先に法案化し不」つうち登校部分の継続審議を主張

   5月10日  「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等

        に関する法律案」が自民・民進・公明・おおさか維新の4党が共同で

        衆議院に提出される
   5月20日  教育再生実行会議 第9次提言「全ての子供たちの能力を伸ばし可

        能性を開花させる教育へ」のなかで、「不登校の子供たちへの教育」

        では「不登校の生徒についての情報の適切な引継ぎ(「児童生徒理

        解・教育支援シート」の活用)」不登校の子供を対象とする「不登校

        特例校」の設置、教育委員会・学校とフリースクールの連携とフリー

        スクールで学ぶ子供たちへの学習面・経済面の支援などが提言される

   6月  1日  「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保

         等に関する法律案」は、衆議院文部科学委員会で審議されることな

         く、次の国会での継続審議となる

   7月29日  不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に関

         する最終報告」、「児童生徒理解・教育支援シート(試案)」、

         「不登校児童生徒への支援に関する最終報告 添付資料」提出

   8月 3日  内閣改造が行われ、馳浩文部科学大臣の後任として、新たに松野博

        一大臣が就任    

   8月 4日  本年度より文部科学省の「学校基本調査速報」から、不登校の項目

       (長期欠席者数の状況)が除外、秋以降に「児童生徒の問題行動等生徒

        指導上の諸問題に関する調査」で発表

 

 

 

不登校対策法案」への反対声明
           不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク
                       不登校を経験した当事者
 私は現在30歳で、小学校でいじめにあい、中学2年でエネルギーが切れるように学校に行かなくなった、不登校経験者です。

 今回の「不登校対策法案」に反対してきた当事者のひとりとして、今の気持ちを言わせていただきます。
 この法律案には、学校で、いじめ・体罰・性被害などの被害をうけた「犯罪被害者の保護・ケア」という観点が、まったくありません。
 法律案の第三章は「不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等」となっています。この題名も含めて第三章まで読んでいくと、「教育機会の確保」という言葉が19回も出てきていました。
 何故こうなるのか?心が悲しく、やるせない思いでいっぱいです。わたしがエネルギーが切れるように学校に行かなくなったとき。言ってほしかった言葉は、ひとつだけでした。
「あなたが生きていてくれるだけで、私は嬉しいよ」
これだけで、十分だったんです。
 なぜ被害をうけた上に、「教育機会の余地がある」という目で見られなければならないのでしょう?
『人間』にむけたまなざしではない。
『人材』を選ぶ選別です。

 私はひとりの人間として、この「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案」の中の「不登校対策法案」に、強く反対します。