2016-07-16 百田尚樹氏の「沖縄の2つの新聞はつぶさないと」発言 を 問う・・・三浦氏の声 百田尚樹氏の「沖縄の2つの新聞はつぶさないと」発言 を 問う 三浦 瑠麗 東京大学政策ビジョン研究センター 国際政治学者 2015年06月26日 ⋮ 右傾化が言われた時代に『諸君』が廃刊に追い込まれた一方『世界』は残っている。文藝春秋も気付かない人も多いかもしれないが反権力や中道、左に振る記事がここのところ多くなってきている。 世の中では人々の支持というものを測るに際し、どのくらいその物事が人々にとって重要なことなのかを除外しては考えられない。例としてはネットの無料媒体などにおけるアクセスより紙媒体などのコストを伴う購買行動によってより的確にはかられるというようなことだ。このこと、つまり人々にとっての優先順位を無視して右傾化を語ってはならないだろう。 世の中で言われている右傾化は、一部の目立つ右派が立てる音があまりに強く聞こえすぎてそのように感じられている可能性がある。同様に、左派の中でも活動家と同じような発想を持つ人々の社会における割合はごく低い。日本における多数派は社会的に保守より、経済的には中道左派寄りで、安保が左派寄りだ。そしてそのような多数派の有権者が、生活の安定や医療、年金、景気全般などを、安保や社会的価値観などの政策より重く見ていることは選挙のたびに調査から明らかだ。さて、メディアが健全かどうかは、広い人々からお金を払ってもらいつつ、ポジショントークに甘んじないで野心的に記事を構成していけるかどうかだ。その点新聞やテレビは寡占状態にあるのでその努力を怠りがちだが、最近のメディアにはその努力がようやく見え始めてきているようにも思う。 沖縄二紙については政治家やその勉強会が新聞批判をすることの不見識やそこに潜む危険は強調しておかなければならない。特に日本は一党優位なのにメディアを懲らしめるとかいったくだりは論外な発言ですね。