9条改正よりもヤバい緊急事態条項
内山 宙さんのfacebookより・・・
【9条改正よりもヤバい緊急事態条項】
★大拡散希望★
緊急事態条項についての情勢が、緊急に対応が必要な事態になっています。
◆新聞報道◆
毎日新聞の報道では、このような記事がありました。
(毎日新聞 2015年03月22日 22時31分)
「自民党憲法改正推進本部事務局長の礒崎陽輔首相補佐官は22日、大分市で講演し、憲法改正について「一番テーマになっているのは緊急事態条項だ。そういうことをまずやっていきたい」と述べ、大規模災害時などに首相にさまざまな権限を与える「緊急事態条項」を、最初の改憲項目として発議する考えを示した。」
「2011年の東日本大震災発生時に、「憲法上の規定がなかったことで政府の対応が遅れた」との見方がある。礒崎氏は「どこの国の憲法にもある条項だ。震災などに法律の範囲内で首相に権限を与え、対処すべきだ」と強調した。」このように自民党は、憲法改正の順番として、「9条を後回しにしてまず緊急事態条項から」と言っています。緊急事態条項の必要性は共通認識だと言った国会議員もいました。
◆もっともらしく見えて、誰も知らない緊急事態条項◆
しかし、この緊急事態条項の内容を、皆さんご存知でしょうか。
知らないうちに震災対策だと言って、なんとなくそうかなと思わせておいて、しれっと導入して、実はそれで終わりになってしまいます。一見、もっともらしく見えて、実は、人権を制限できるようにし、立法機能を国会から内閣に移し、ずっと緊急事態だということにして国会を今のままの構成にして、選挙を実施しないことができてしまう、とんでもないものなのです。
◆復興の遅れは緊急事態条項がないからではない◆
しかし、震災対策ができていないのは、緊急事態条項がないからではなく、やる気がないからだということは、既に明らかとなっています。震災対策といって増税したお金が、復興支援以外に回っているではありませんか。
平時に備えることができないことは、非常時にもできないのだということが、復興支援の現場に関わる弁護士からも指摘されています。◆9条を守っても、緊急事態条項が通ったら終わり◆
9条さえ改正されなければいいということではまったくないのです。
9条の会の方々こそ、緊急事態条項で9条が骨抜きになってしまう恐れがあることを理解していただきたいと思います。自民党の憲法改正草案の緊急事態条項の要旨を、以下に記載しましたが、これを見ていくと、緊急事態だから軍隊を持ちますということだってありうるわけです。
そして、それを内閣が自分の判断だけでできてしまうわけです。◆議員要請をしよう!◆
手分けして、地元の議員に働きかけて、この条項の危険性を知っていただく必要があると考えています。
議員は、地元の有権者からの要望があると話を聞かざるを得ません。
話を聞かなかったら、それはそれで公表していくことが必要です。また、議員には、長々と説明する文書をもっていっても読んでくれる時間がありません。
A4一枚程度でポイントをまとめたものを用意する必要があります。① 誰が緊急事態を宣言するのか?
「内閣総理大臣は、…閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる(98条1項)。」
⇒ 内閣が自分で宣言できてしまう。② 国会の承認が必要だから大丈夫なんじゃないの?
「緊急事態の宣言は、…事前又は事後に国会の承認を得なければならない(98条2項)。」
⇒ 与党が多数を占めているのだから、当然、スルーされる。③ 100日を超えるときは更新の手続が必要だから大丈夫なんじゃないの?
「百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない(98条3項)」
⇒ やっぱり与党がスルーしてしまう。④ 緊急事態だと内閣は何ができちゃうの?
「緊急事態の宣言が発せられたときは、…内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる(99条1項)」
⇒ 国会関係なし。
⇒ 今でこそ、安保法制は国会で議論されていますが、緊急事態宣言の後は、内閣が自分で勝手にやってしまいます。⑤ でも、政令は国会の承認が必要だから大丈夫なんじゃ…
「前項の政令の制定及び処分については、…事後に国会の承認を得なければならない(99条2項)。」
⇒ 繰り返しですが、与党が内閣の決めたことをそのまま承認します。⑥ 緊急事態でも、人権はさすがに保障されるんでしょ?
「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第14条、第18条、第19条、第21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。(99条3項)」
⇒ 要は、人権侵害できるということです。
というか、人権を制限することが緊急事態宣言の目的です。
⇒ 尊重する=ただの言い訳で、侵害はするということです。
⇒ 財産を徴発して、補償しないということも考えられます。
現行憲法では、29条で補償されることになっています。
⇒ 意に反する苦役(18条で禁止)を課すこともできるようになりかねません。
徴兵制への道が開かれる恐れがあります。⑦ 選挙で政権交代すれば緊急事態宣言は終わらせることができるんでしょ?
「緊急事態の宣言が発せられた場合においては、…その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。」
⇒ 緊急事態宣言をスルーする与党がずっと国会を支配しかねません。
⇒ 緊急事態宣言が継続している間は、国会議員の任期は終了しないという特例を設けることもできてしまいます。2015.9.26追記
・9条の改憲が問題ないと言っているわけではありません。9条ばかり見ていると、安保の裏で派遣法が通ったみたいに、いつの間にかもっとヤバイものがするっと通っちゃうかもしれないので、気をつけましょうということです。念のため。
・憶測じゃないか、と言っている人がいましたが、規定ぶりからすれば、当然あり得る結論を述べているだけです。契約書のチェックをするのと同じです。書いてあるけどしませんよ、なんて言われて、はいそうですか、と信じるビジネスマンはいませんよ。
自民党は、憲法に書いてあっても無視することが明らかになったんですから、そりゃあ書いてある通りに、ギリギリいっぱい(いや軽々越えて?)までやるでしょうよ。
・念のためですが、緊急事態に対して備えることは必要です。ドイツもそのような条項を憲法改正で入れています。
しかし、本文に書いたこと以外にも、下記の理由で反対です。
①少なくとも安倍政権にやらせるわけにはいかないということ、
②緊急事態の宣言やそれに基づく処置に対する司法のチェックが定められておらず、多数派与党に追認されるだけで、人権侵害が多発する危険性が極めて高いこと、
③とりあえず書いてなくても、既に様々に災害対策の法整備がされており、ひとまず対応できること、
④書いてなくても緊急事態には超法規的な対応をすることは考えられること、
⑤しかし、超法規的な対応ゆえ、抑制的に対応されるはずであり、法制化しないこと自体が歯止めになりうること、
⑥参議院の緊急集会が定められているので、対応できること、
⑦国会議員が定足数にも届かないほど少数しか参集できないような事態になることは考えにくいこと。